2001 Fiscal Year Annual Research Report
アワノメイガ種群における性転換型Wolbachiaの感染の分子系統解析
Project/Area Number |
12640675
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星崎 杉彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
|
Keywords | Wolbachia / Ostrinia / feminization / 分子系統 |
Research Abstract |
アワノメイガ,アズキノメイガ,オナモミノメイガ,フキノメイガより得られた計20頭以上のWolbachia感染個体について,Wolbachiaのwsp遺伝子とftsZ遺伝子の部分塩基配列(各々,555塩基対と1025塩基対)を決定した.どちらの遺伝子についても全サンプルが同一の配列を示した.この結果は,4種に感染しているWolbachiaが同一のあるいは極めて近縁な系統に属することを示唆する. それらを含むWolbachia感染サンプル(35個体)について,宿主のミトコンドリアCOII遺伝子の塩基配列(682塩基対)を決定した.全サンプルはほぼ同一の配列を示した.この結果は,4種のWolbachia感染が一度の感染事象に由来することを意味する. それとは別に,先の4種にゴボウノメイガ,ヨーロッパアワノメイガ,未記載の1種をあわせた7種(計200頭以上)のCOII遺伝子の塩基配列を決定した.これらのCOII塩基配列全てを系統解析にかけた結果,感染型のCOII塩基配列はどの種の主要COII系統グループにも属さないことが判明した.この結果は、感染型COII配列がアワノメイガ類の中でも古くに分岐したことを示唆する. 以上の知見をあわせて,1)アワノメイガ類において性転換型Wolbachiaは種間交雑を通じて宿主種を拡大したこと,2)どの種からどの種へ感染が移ったかは不明であること,3)感染の配給元となった種はおそらくアワノメイガ類の現生種が分化するよりも古い時期に感染していたこと,を考察した.
|