2000 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアゲノム全塩基配列を用いた有鱗類の高次系統関係の解明
Project/Area Number |
12640680
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊澤 慶伯 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60221941)
|
Keywords | ミトコンドリア / 有鱗類 / PCR / 分子系統解析 / ゲノム / 進化 / 爬虫類 / トカゲ類 |
Research Abstract |
まず、本研究を行うに当たり必要な有鱗類のサンプルを多数収集し、備品として購入した冷凍庫に保管した。状態のよいサンプルからDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする数コの断片をLong PCRにより増幅した。このLong PCR産物を鋳型として、多数のユニバーサルプライマーを用いた短領域(約0.5-1kbp)の増幅を行い、それらの塩基配列を決定した(備品の微量高速遠心機はシーケンス決定実験に用いられた)。最後に、それら短領域の配列をアセンブルすることで、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定した。この手法を用いて、これまでにテキサスホソメクラヘビ(ホソメクラヘビ科)、カキネハリトカゲ(イグアナ科)など5種類の有鱗類から、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定できた。従来のクローニングを用いる方法では、クローニングの出発物質として大量のDNAが必要とされること、デリーションミュータントの作成が煩雑であることなどから、1つの生物からミトコンドリアDNA全領域を配列決定するのはかなり大変な作業であった。しかし、本研究の方法を用いればこの作業時間が大幅に短縮され、かつ正確な配列データが得られることを実証できた。ミトコンドリアDNAの遺伝子配置を較べてみると、いわゆる典型的な脊椎動物の遺伝子配置と異なる配置を持つケースがいくつかの有鱗類で見つかった。これらの遺伝子配置変動は、それを共有する生物の系統的近縁性を示す分子マーカーになる可能性があり、さらに詳細な分析を進めている。来年度は、さらに多くの有鱗類からミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定するとともに、得られたデータについて分子系統解析を進める予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Cao,Y. et al.: "Phylogenetic position of turtles among amniotes : evidence from mitochondrial and nuclear genes."Grene. 259. 139-148 (2000)
-
[Publications] Kumazawa,Y. et al: "Molecular phylogeny of osteoglossoids : a new model for Gondwanian origin and plate tectonic transportation of the Asian arowana."Molecolar Biology and Evolution. 17(12). 1869-1878 (2000)
-
[Publications] Kumazawa,Y. et al.: "Molecular phylogenetic analysis of vertebrate radiations."IIAS International Symposium on Biodiversity. 137-143 (2000)