2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640683
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 正道 新潟大学, 理学部, 教授 (00154865)
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Keywords | 白亜紀 / 被子植物 / 初期進化 / 炭化化石 / 古植物学 / クスノキ科 / 双葉層群 / 花化石 |
Research Abstract |
近年、白亜紀の古植物学的発見や分岐分類学の発展および分子系統学の研究成果等により、被子植物の起源と初期進化に関する研究は、急速に展開しつつある。被子植物の炭化化石を良好に保存されている状態でとりだすことができる白亜紀の特殊な条件下で堆積した地層は世界的にも極めて少なく、これまでに、ヨーロッパと北アメリカ東部の特定の地層に限られていた。高橋は、日本各地において、bulk sieving techniques法による被子植物化石の研究の可能性を探した結果、白亜紀の被子植物始源群の花、果実、種子などの化石を含むいくつかの有力な白亜紀の地層を発見し、その中のひとつを上北迫化石植物群と呼ぶことを提案した。今年度は、上北迫化石植物群から発見された花化石についてまとめた。発見された化石は、1.5mmの長さの花柄に3数性の直径1.7mmの小さな花化石である。内外輪3枚の花被片、9本の雄蕊、退化している雌蘂からなり、内側は、多くの軟毛に被われている。雄蕊群は3個の雄蕊が3輪からなり、それぞれが弁開する4個の葯室をもっている。いずれの雄蕊でも、花糸は、葯の長さより短い。雌蘂が退化していることにより、雌雄異花であると思われる。 今回、発見された花化石は、これまでに後期白亜紀から発見された、クスノキ科の花化石であるMauldinia(セノマニアン,USA)、Perseanthus(チュロニアン,USA)とは、別の属の花化石である。従来、クスノキ科植物は、葯室の数などの形態的特徴で体系化されていたが、最近のmatK遺伝子による系統樹は、新たにゴンドワナ群とローレシアー南アメリカ群に分けられることを提案している。今回、発見された花化石は、クスノキ科の系統分化の初期進化段階のものであったと考えられる。これらの成果は、論文として発表した さらに、今年度、新たに発見したNyssaに近縁な果実化石についての調査を進めている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takahashi, M., Herendeen, P.R., Peter R.Crane: "Lauraceous fossil flower from the Kamikitaba Locality(Lower Coniacian, Upper Cretaceous) in northeastern Japan"Journal of Plant Research. 114. 429-434 (2001)