2001 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱性Archaeaの系統分類と脂質構造との関係に関する研究
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12640685
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
須貝 昭彦 北里大学, 一般教育(基礎科学センター), 講師 (30162845)
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Keywords | Thermococcales / Thermococcus / Pyrococcusu / Palaeococcus / lipid / caldarchaeol / archaeol / archaea |
Research Abstract |
超好熱性archaea、Thermococcales目に属する17菌株(Pyrococcus furiosus、P. horikoshii、P. woesei、Thermococcus aggregans、T. celer、T. fumicolans、T. gorgonarius、T. guaymasensis、T. litoralis、T. pacificus、T. peptonophilus、T. profundus、T. stetteri、T. zilligii、T. waiotapuensis、T.aegaeus、Palaeococcus ferrophilus)の生体膜脂質と系統分類との相関について調べた。これらの菌株の生育至適温度には少し差があるが、全て80℃で培養し、その菌体構成脂質の比較を行った。Thermococcales目は、16SrRNAの比較から、Pyrococcus属、Thermococcu属とPalaeococcusの3つの属に分類されているが、構成脂質の間には有意な差違は見られなかった。それらの主要脂質の基本構造は、バイフィタニル鎖(C_<40>)を2本分子内にもつcaldarchaeolから構成されていた。好酸好熱性のSulfolobus目では、caldarchaeolのバイフィタニル鎖中にシクロペンタン環が存在するが、80℃で培養した17菌株では、バイフィタニル鎖中にシクロペンタン環の存在は認められなかった。さらに、P. horikoshii、T. celer、T. guaymasensisとT. waiotapuensisのcaldarchaeolには、バイフィタニル鎖同士が中央付近で結合したC_<80>炭化水素鎖をもつH型caldarchaeolが検出された。しかしながら、H型caldarchaeolの存在と系統学的な相関は見られなかった。極性脂質の薄層クロマトグラムを比較すると、ほぼ同じパターンを示した。幾つかの菌株の全脂質のESI-MSの測定を行ったところ、陰イオンモードでm/z894、m/z1543とm/z1786に共通するイオンピークが観察された。m/z894は、archaeol・ペントースあるいはイノシトール・リン酸の組み合わせに相当する。また、m/z1543は、caldarchaeol・ペントースあるいはイノシトール・リン酸の組み合わせ、m/z1786の場合には、m/z1543に更にペントースあるいはイノシトール・リン酸が結合した分子イオンピークに相当する。今までにm/z1786に相当する脂質は他のarchaeaからは検出されていない。この様にThermococcales目に属するarchaeaの脂質には、他のarchaeaには見られない特徴があり、高温地域から分離された菌株がThermococcales目に属するか否かの判断が脂質分析で簡単に行うことができる可能性が示唆された。
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