2000 Fiscal Year Annual Research Report
単一種より構成されるインドストムス目(硬骨魚綱)魚類の系統分類学的研究
Project/Area Number |
12640686
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
岩見 哲夫 東京家政学院大学, 家政学部, 助教授 (80183200)
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Keywords | 系統分類 / 染色体 / インドストムス科 |
Research Abstract |
1 飼育環境の確立と生殖行動の観察 本種の飼育データは極めて少なく,試行錯誤により確立を試みた。水温に関しては23℃前後が最適と考えられ,比較的高温に強いことも明らかとなった。また,pHに関しては6.8程度の弱酸性環境が適しているものと推定され,pH7.2以上のアルカリ性域ではしばしば大型個体の斃死が認められた。 生殖行動の観察実験に関しては大型個体の斃死が相次いだため,進展が認められなかった。しかしながら,大型個体がある時期に集中して斃死したことから,本種は年魚といった寿命の短い魚類ではないかという新たな検証課題を得ることができた。この点については,順次,一部の個体をアルコール固定標本とし耳石の保存に努めており,解析を進める予定である。 2 染色体の解析 Indosutomus属魚類は極めて小型の魚類で,通常核型分析に用いられる腎臓などの分裂組織は利用不可能である。そこで,鰭の上皮細胞の培養を試み,その簡易細胞培養法を確立させた。鰭の上皮細胞の培養とそのコルヒチン処理で,いくつかの中期分裂像を得ることができた。十分な解析は続けてより多くの細胞で行う必要があるが,予報的に本種の核型は2n=30,M/SM=14,ST/A=16と判断された。 3 分類学的問題 Indostomus属魚類は1種のみから構成されると考えられていたが、本研究で用いている個体についても形態的に変異が大きく未記載種の可能性を含めて検討を進めていた。残念なことに,この点についてはBritz and Kottelat(1999)によって2新種が記載され,一応の結果が出された。しかしながら,本研究では解析対象個体が100個体を越えており,個体変異を十分解析できる材料であるので,少数の個体で記載を行ったBritz and Kottelat(1999)を種内変異の可能性も含めて再検証することとして解析を進めている。
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