2003 Fiscal Year Annual Research Report
藍藻Anabaena spiroides類似群の形態学および分子分類学的研究
Project/Area Number |
12640690
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Research Institution | National Science Museum, Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 眞之 国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (30000136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 彰洋 国立科学博物館, 植物研究部, 研究官 (40356267)
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Keywords | Anabaena spiroides / 形態分類 / 分子分類 / 16Sr rDNA |
Research Abstract |
1.Anabaena spiroides類似群の収集 一昨年・昨年に引き続きAnabaena spiroides類似群の収集のため、過去2年間に調査をしていない九州・沖縄地域を中心に水試料を採取し、Anabaena spiroides類似群を探したが、これらの地域から採集する事は出来なかった。 2.形態観察 昨年度までに分離した株について、維持培養を行い、アキネートの観察を試みた。観察が出来た株につき、栄養細胞およびアキネートの形態の観察を行い、写真撮影した。 3.16SrDNAによる分析 昨年度試みた、プライマーではAnabaenaの株をうまく増幅できず、また、変異が多いと考えられている先端部分を、読みとる事が出来なかった。そのため、フォワードプライマーとして27fを用いると共に、リバースプライマーを改良し、私たちが実験した全てのアナベナを増幅できるプライマーを見いだし、解析に成功した。解析の結果、以下の事が分かった。 i.Anabaena spiroides類似群は、単系統ではなく、属レベルを超える遺伝的多様性を内包している。また、螺旋以外の形態が類似している直線上群体を形成する種との遺伝的距離が小さい。 ii.形態観察から、細胞径や螺旋径が大きく異なると考えられる分類群が、遺伝的にまったく同一である事例が見つかった。そのことから、分類形質として細胞径や螺旋径に頼りすぎる事の危険性が明らかになった。 DNA分析の結果は、従来の形態分類を完全に否定するものではなかったが、上記3-iiの様に見直しが必要な部分も見つかった。DNA分析の結果を基に、形態分類を見直す事が、今後の課題として残っている。
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