2000 Fiscal Year Annual Research Report
組織制御による高温超伝導溶融バルク体の破壊応力と磁束捕捉量の向上
Project/Area Number |
12650012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
生田 博志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (30231129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
琵琶 哲志 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50314034)
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Keywords | 溶融バルク体 / 高温超伝導体 / SmBa_2Cu_3O_y / NdBa_2Cu_3O_y / 微細組織 / 機械強度 / 空孔除去 |
Research Abstract |
最近のAg添加SmBa_2Cu_3O_y(SmBCO)の開発により、高温超伝導溶融バルク体の超伝導特性は十分に実用レベルに達したが、試料が磁気応力で破壊されたり、急激な温度昇降に弱いことが問題である。しかし、溶融バルク体に含まれる各相の濃度比や焼成条件によって微細組織は変化し、材料強度にも影響する。そこで、本研究では試料の微細組織を制御し、機械強度との関連を調べることを目的としている。 本年度はまず、NdBa_2Cu_3O_y(NdBCO)溶融バルク体を作製した。NdBCOのJ_cのピーク効果はSmBCOを上回るとされている。これまでc軸配向単一結晶粒で十分に大きい試料の作製の報告はなかったが、作製条件の最適化を行うことで、直径30mmの試料の作製に成功した。また、捕捉磁場の大きさはAg添加量が等しいSmBCOを上回ることがわかった。ただし、単一結晶粒試料を得るにはSmBCOよりも多くのAg添加が必要であり、このためAg添加量の少ないSmBCO試料の捕捉磁場よりは小さい値であった。 次に、試料中の空孔を除去することで強度を向上させる手法を検討した。空孔は、溶融時に試料内に不活性ガスが取り残されて生じると考え、溶融時の雰囲気と空孔生成の関係を調べた。その結果、溶融時に酸素フローを行った場合、または真空中で溶融させた場合に、空孔のない試料が得られた。また、試料成長時にArガスに切り替えることで、超伝導特性も十分良好な試料が得られた。 さらに、出発原料中のSm211相の粒径を変化させるために、遊星ボールミル処理した211相粉を用いてSmBCOを作製した。その結果、平均粒径が0.7μmのSm211相を含む試料が得られ、同じ条件で作製した従来試料に比べ捕捉磁束密度が上昇した。今後はこの試料の機械強度を調べ、Sm211相の粒径と試料強度の関係を調べる必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Ikuta 他: "Synthesis and superconducting properties of c-axis aligned, single-domain Nd-BCO/Ag, melt-processed superconductors"Supercond.Sci.Technol.. 13. 1559-1568 (2000)
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[Publications] H.Ikuta 他: Physica C. (印刷中).
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[Publications] K.Tazoe 他: Physica C. (印刷中).
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[Publications] H.Ikuta: "Melt-Processing of High-Performance RE-Ba-Cu-O/Ag (RE=Sm,Nd) Bulk-Superconductors"Proceedings of the 4^<th> Japan-Central Europe Joint Workshop on Energy and Information in Non-Linear Systems. (印刷中).