2001 Fiscal Year Annual Research Report
エルビウム添加酸化亜鉛薄膜を用いた注入型赤外発光素子に関する研究
Project/Area Number |
12650020
|
Research Institution | TOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小室 修二 東洋大学, 工学部, 教授 (90120336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
|
Keywords | 酸化亜鉛薄膜 / エルビウム / 希土類元素 / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
今年度の研究実績は次のようにまとめられる。 1.Erの発光センターを活性化するために、ZnO:Er薄膜を大気圧酸素雰囲気中で700℃、3分間の熱処理を施し、XRD測定により薄膜の結晶性を評価した。その結果、強いc-軸配向性を示しており、典型的なZnOバルク結晶と比較してみると、薄膜ではEr添加によりc-軸長が約0.9%伸張していることが明らかになった。 2.ZnO:Er薄膜の抵抗率を四端子法により求めた。大気圧酸素雰囲気中で700℃、3分間の熱処理により抵抗率は6.3×10^<-3>Ωcmから100Ωcmへと約4桁の増加を観測した。アニール前では良好なn型の導伝性を示したが、アニールにより酸素欠損が回復した結果、導伝性の低下を生じたと考えられる。 3.Er^<3+>イオンの1.54μm発光機構を理解するために励起スペクトル(PLE)の測定を行った。観測されたPLE信号のピークは、それぞれ基底状態から^4F_<9/2>、^4S_<3/2>、^2H_<11/2>、^4F_<7/2>の各励起準位への吸収遷移であることを実験的に明らかにした。 4.Er^<3+>イオンの励起準位を直接励起した場合、あるいはZnO母材を励起しEr^<3+>イオンを間接励起した場合の1.54μm発光スペクトルを測定した。直接励起では、^4F_<9/2>→^4I_<15/2>、^4S_<3/2>→^4I_<13/2>、^4I_<11/2>→^4I_<15/2>準位のEr^<3+>イオンの発光遷移を観測した。間接励起の場合には、これらの発光ピークは全く観測されなかった。直接励起の場合にはEr^<3+>イオンの励起準位間をカスケードに緩和し、最終的に第一励起準位から基底準位への1.54μm発光が生じる。しかし、間接励起ではカスケード的なEr^<3+>イオンの緩和は行われずに、ZnO母材に光励起により生じた電子・正孔対の消滅エネルギーが直接にEr^<3+>イオンの第一励起準位を励起し、1.54μmの緩和発光を生じさせていると結論される。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Ishii, S.Komuro, T.Morikawa, Y.Aoyagi: "Local structure analysys of an optically active center in Er-doped ZnO thin film"Journal of Applied Physics. 89. 3679-3684 (2001)
-
[Publications] 勝亦 徹, 酒井理恵子, 小室修二, 森川滝太郎: "蓄光型蛍光体の結晶成長と評価"資源処理技術. 47. 53-58 (2000)
-
[Publications] X.Zhao, S.Komuro: "Time-resolved photoluminescence of ytterbium-doped nanocrystalline Si thin films"Applied Physics Letters. 79. 2151-2153 (2001)