2001 Fiscal Year Annual Research Report
外部結合のあるマイクロキャビティにおける二原子協力発光
Project/Area Number |
12650038
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
氏原 紀公雄 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (90017351)
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Keywords | マイクロキャビティ / 二原子協力発光 / 二励起部分空間 / 二原子真空ラビ振動 / 実効モード半径 / ラビ振動崩壊 |
Research Abstract |
平板形マイクロキャビティ中の協力発光現象を調べるため、有限の反射率を有する反射鏡よりなる平板形マイクロキャビティの中央面上に、2個の二準位原子を距離Rだけ隔てて置き、時刻t=0で両原子は励起状態にあるものとして、t>0における両原子の発光の過程を量子力学的に考察した。出発点となるハミルトニアンにおいて、始めから回転波近似を行い、両原子の運動をシュレディンガー方程式に基づいて2励起部分空間において解析した。2原子の運動の対称性に留意し、原子-場結合係数に関して4次までの精度で両原子が励起状態にある確率を計算した。その結果、両原子間の光の伝播時間、原子とその諸鏡像間の伝播時間、一方の原子と他方の原子の諸鏡像との間の伝播時間を遅延時間として含む、2階の遅延微分方程式を得た。これをオリジン2000コンピューターにより数値解析した。可変パラメータは個々の原子の自由空間における自然放出率A、反射鏡反射率r、および原子間距離Rである。ただし、共振器長は放射波長の1/2であるとした。比較的大きいAおよびlrlに対して、ラビ振動が得られた。Rが大きいときは協力効果はないから、単一原子の真空ラビ振動が見られるが、Rを徐々に波長程度まで小さくしていくと、振動振幅はR大のときより増大した。しかし、その途中で、Rが報告者の提唱したモード半径に近い値をとるときには、ラビ振動は衰弱し、振幅は極少となった。これは、2原子の協力がRの増大と共に単調に減じるのではなく、平板形キャビティ固有のモード半径程度の間隔において、光放射に際して破壊的な干渉が起こることを示す極めて新しく重要な知見である。また、自由空間における同様の過程に対して、一原子が励起状態にある中間状態を、対称および反対称状態に変換してそれらの放射に対する寄与を数値的に調べたところ、何れの一方が欠けても放射は抑制されることを見出した。
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