2001 Fiscal Year Annual Research Report
希土類イオンと色中心との共存による固体レーザー発振の安定化
Project/Area Number |
12650056
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坪井 泰住 京都産業大学, 工学部, 教授 (70065861)
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Keywords | 色中心 / 色中心レーザー / 希土類イオン / 蛍光 / 波長可変レーザー |
Research Abstract |
LiF : F_2^-色中心レーザーは室温発振する色中心レーザーの中で最も安定で高出力発振するレーザーとして知られている。しかし、その発光効率の低下があり高出力発振については疑問視されている。LiF : F_2^-色中心をポンプするために通常Nd-YAGレーザーやNdガラスレーザーの基本波が用いられる。発光効率の低下の原因を探るため、Ndガラスレーザーの基本波の非線形吸収実験を行った。励起光強度を高くしていくと透過度は増していくがパルスエネルギー密度が1Jcm^<-2>を超えると透過度が減少していくのが観測された。この原因として、F_2^-色中心の二光子吸収や共存するF_4色中心による2倍高調波吸収が特定された。従って、発光効率の低下はこのような二光子吸収やF_4色中心による吸収に原因していることが判明できた。また、この実験からこれまで確定されていなかったF_2^-色中心の基底状態吸収断面積、一光子励起状態吸収断面積の値を算定した。このような非線形現象研究のほかに、F_3^-、F_4およびF_2^-色中心間のエネルギー伝達を示す実験を行ないエネルギー伝達機構を明らかにした。さらに、希土類イオンの共存効果を探るため、最初に色中心が存在しない結晶でCe, Er, Tmイオンなどの希土類イオンの光学特性を調べ光吸収、発光、二光子励起発光、蛍光寿命などの測定から希土類イオン内の光学過程を明らかにした。共存効果を探るために、Eu^<2+>を含むCsI結晶およびEu^<3+>を含むLiF結晶にガンマ線を照射しF中心やF_2中心を生成し、希土類イオンの光学特性が色中心の共存により変化することが見つけられた。生成された色中心が室温では非常に速く消滅するため、色中心安定化のための最善策を現在探っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Tsuboi, V.Petrov, F.Noack, K.Shimamura: "Femtosecond relaxation in Ce^<3+> ions inLiCaAlF_6 and LiSrAlF_6"Journal of Alloys and Compounds. 323-324. 688-691 (2001)
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[Publications] R.E.Di Paolo, E.Cantelar, T.Tsuboi, F.Cusso: "Determination of the Er to Yb energy transfer efficiency in Er/Yb-codoped YVO_4 crystals"Journal of Physics: Condensed Matter. 13,35. 7999-8006 (2001)
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[Publications] G.Baldacchini, R.M.Montereali, T.Tsuboi: "Energy transfer among color centers in LiF crystals"European Physics Journal D. 17. 261-264 (2001)
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[Publications] 坪井 泰住: "希土類イオンのエネルギー移乗とアップコンバージョン"希土類. 39. 57-69 (2001)
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[Publications] T.Tsuboi, M.Grinberg, S.Kaczmarek: "Site symmetries of Cu^<2+> ions in LiNbO_3 crystals"Journal of Alloys and Compounds. (印刷中). (2002)
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[Publications] M.Grinberg, T.Tsuboi, M.Berkowski, S.M.Kaczmarek: "Jahn-Teller effect in Co doped SrLaGa_3O_7"Journal of Alloys and Compounds. (印刷中). (2002)