2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12650060
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
速水 謙 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系研究系, 教授 (20251358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 徹志 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科・数理情報学専攻, 助手 (80302751)
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Keywords | 連立一次方程式 / 反復解法 / 特異 / クリロフ部分空間法 / 一般化共役残差法 / 固有値問題 / Jacobi-Davidson法 / 精度保証数値計算 |
Research Abstract |
1.特異な系に対する反復法の収束性の解析 偏微分方程式の離散近似で例えば全周ノイマン境界条件の場合や、マルコフ連鎖の定常状態の計算などで生じる特異な連立一次方程式Ax=bまたは最小二乗問題に対する、クリロフ部分空間法に属する反復法の振る舞いを理論的に解析している。 今年度は昨年度の共役残差法(CR法)を拡張した一般化共役残差法(GCR(k)法)について研究を進めた。 具体的にはGCR(k)法が任意の右辺b及び初期解x_0に対して破綻することなく収束するための必要十分条件は、係数行列Aの対称部M(A)がAの像空間R(A)において定値であり、かつR(A)がAの核ker(A)と直交することであることを示した。 さらに、右辺bがAの像空間R(A)に含まれている場合は、GCR(k)法が任意の初期解x_0に対して破綻することなく収束するための必要十分条件は、係数行列Aの対称部M(A)がAの像空間R(A)において定値であることを示した。 2.固有値問題に対するJacobi-Davidson法に関する研究 大規模固有値問題Ax=λxの反復解法であるJacobi-Davidson法に関して下記の研究を行った。 (1)精度保証計算に関する研究 対角化可能な行列(例えば正規行列)に対してBauer-Fike型の事後誤差評価法を適用し、ヘルムホルツ方程式の離散近似で生じる大規模な固有値問題に対してJacobi-Davidson法を事後誤差評価による精度保証付きで高速に実行できることを示した。 さらに、非正規性の強い行列に対して、従来のBauer-Fike型の事前誤差評価法よりも安定なSchur分解型の事前誤差評価法を提案し、その優位性をJordan細胞行列や、移流項付きのヘルムホルツ方程式の離散近似で生じる固有値問題に対して確認した。 (2)Jacobi-Davidson法の幾何学的研究 Jacobi-Davidson法の内部反復で解くべき修正方程式に解が存在するための必要十分条件を求めた。 また、修正方程式の解によって拡張される部分空間と行列Aの不変部分空間の関係を明らかにした。その応用として、初期ベクトルを含む不変部分空間を低次元で構成することによりJacobi-Davidson法を高速化するための初期ベクトルの生成法を提案し、その有効性を数値実験により確認した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 濱野健二: "大振幅定在波の境界要素法による直接シミュレーション"数理解析研究所講究録(非線形波動現象のメカニズムと数理). 1209. 105-114 (2001)
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[Publications] Kamiyama, M.: "Validated numerical solution of large scale eigenvalue problems"日本応用数理学会2001年度年会 講演予稿集. 22-23 (2001)
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[Publications] 今井 聡: "Jacobi-Davidson法における初期ベクトルの改良"日本応用数理学会2001年度年会 講演予稿集. 276-277 (2001)
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[Publications] Hayami, K: "On the convergence of conjugate residual and related methods for singular systems"Abstracts of Talks, ICRACM2001, International Conference on Recent Advances in Computational Mathematics, October, 2001, Matsuyama. 24-25 (2001)
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[Publications] Hayami, K: "On the convergence of the GCR(k) method for singular systems (invited talk)"微分方程式の離散化手法と数値計算アルゴリズム研究集会,2001年11月,京都大学数理解析研究所. 31-33 (2001)
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[Publications] Hayami, K: "On the convergence of the GCR(k) method for singular systems"Latsis Symposium 2002 : Iterative Solvers for Large Linear Systems, February, 2002, ETH Zuerich, Abstracts. 22-23 (2002)