2002 Fiscal Year Annual Research Report
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12650060
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
速水 謙 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 教授 (20251358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 高明 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助手 (80353423)
西田 徹志 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (80302751)
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Keywords | 境界要素法 / 最小二乗問題 / 特異系 / クリロフ部分空間反復法 / 逆問題 / 脳磁図 / ソース項同定 / 多重極展開 |
Research Abstract |
境界要素法に関しては、大振幅定在波の境界要素法による直接シミュレーションに関する研究を英論文にまとめた。 一方、特異な係数行列をもつ連立一次方程式や最小二乗問題に対するクリロフ部分空間反復法の振る舞いに関する研究に関しては、ロバストで高速な反復法であるGMRES法(一般化残差最小法:Generalized Minimal Residual method)が破綻することなく最小二乗解を与えるための必要十分条件を求めた。手法としては、アルゴリズムを係数行列の像空間とその直交補空間の成分に分離する手法を用いた。 また、優決定な最小二乗問題に対して、不完全QR分解による前処理を施してからGMRES法を適用する手法を提案し、その有効性を検証した。まず、前処理により得られた連立一次方程式の解が最小二乗解を与えるための必要十分条件を導き、前記の不完全QR分解がその条件を満たすことを示した。次に、様々な例に対する数値実験により提案法の有効性を示した。特に、悪条件問題に対しては、提案法が従来有効とされていた正規方程式に前処理付き共役勾配法を適用する手法に比べて優位であることを確認した。 逆間題の研究に関しては、脳磁図逆問題などに応用される3次元ポアソン方程式のソース項同定逆問題において、領域内のソース分布に応じた効率的な直接解法を構築した。ソースが1)領域内で比較的一様に分布するとき、2)領域表層に集中して存在するとき、各場合に対し、場の多重極展開の1)低次モーメント、2)高次モーメントの無限級数を用いることにより、ソースを1)xy平面、2)リーマン球面に射影した位置に関する再構成公式を得た。特にリーマン球面に射影する方法においては、領域境界上で局所的重みをかけた境界積分、もしくは境界上の一点における場の高階微分を観測データとしてソースが同定可能であることを示した。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Kenji Hamano: "Boundary element simulation of large amplitude standing waves in vessels"Engineering Analysis with Boundary Elements. (掲載予定). (2003)
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[Publications] 速水 謙: "特異な系に対する共役残差法の収束性について"日本応用数理学会論文誌. 13巻1号. 1-33 (2003)
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[Publications] Ken Hayami: "On the behaviour of the conjugate residual method for singular systems"Z.-C.Shi and H.Kawarada eds., Proceedings of Fifth China-Japan Seminar on Numerical Mathematics, Shanghai, 2000, Science Press, Beijing/New York. 117-126 (2002)
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[Publications] 速水 謙: "特異な系に対するGCR(k)法の収束性について"京都大学数理解析研究所講究録. 1265. 129-139 (2002)
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[Publications] 速水 謙: "反復法の数理"数理科学,特集/数理工学の地平. 12月号. 36-42 (2002)
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[Publications] Ken Hayami: "On the convergence of Krylov subspace methods for singular systems"MILOVY 2002, Computational Linear Algebra with Applications, August, 2002, Milovy, Czech Republic, Book of Abstracts. 36-37 (2002)
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[Publications] 速水 謙: "特異な系に対するクリロフ部分空間法の収束性について"日本応用数理学会2002年度年会予稿集. (http://pjsiam.jstage.jst.go.jp/ja/). (2002)
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[Publications] 伊藤徳史: "GMRES(k)法の線型最小二乗問題への適用"日本応用数理学会2002年度年会予稿集. (http://pjsiam.jstage.jst.go.jp/ja/). (2002)
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[Publications] 伊藤徳史: "不完全QR-GMRES(k)法による線形最小二乗問題の解法"情報処理学会第65回全国大会講演論文集. 1-117-1-118 (2003)
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[Publications] 伊藤徳史: "GMRES法による線形最小二乗問題の解法"LA研究会第26回研究会. (http://phase.hpcc.jp/la/SLIDES/0303-ito/index.html). (2003)
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[Publications] Takaaki Nara: "A projective method for an inverse source problem of the Poisson equation"Inverse Problems. Vol.19, No.2. 355-369 (2003)
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[Publications] 奈良 高明: "ポアソン方程式ソース項同定逆問題の射影解法"計算数理工学会論文集. Vol.2. 21-26 (2002)
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[Publications] Takaaki Nara: "Projection method for an inverse source problem of the Poisson equation"Proceedings of the Society for Instrument and Control Engineers Annual Conference (SICE2002). 1590-1597 (2002)
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[Publications] 奈良 高明: "リーマン球面への射影によるポアソン方程式のソース項同定"日本応用数理学会2002年度年会予稿集. (http://pjsiam.jstage.jst.go.jp/ja/). (2002)
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[Publications] 奈良 高明: "局所的計測によるソース項推定逆問題の代数解法"第19回センシングフォーラム予稿集. 341-346 (2002)
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[Publications] 奈良 高明: "リーマン球面への射影によるポアソン方程式のソース項同定"京都大学数理解析研究所研究集会 微分方程式の数値解法と線形計算. 43-45 (2002)