2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五十嵐 顕人 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (00115784)
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Keywords | 確率過程 / 確率共鳴 / 雑音 / 信号処理 / ニューラルネットワーク / 想起 |
Research Abstract |
多自由度系におけるStochastic Resonance(確率共鳴)現象を計算機シミュレーションによって解析した。具体的には(1)各自由度は確率共鳴を起こす系であるダブルウエルポテンシャルで記述される系とし、自由度間の相互作用が1次元格子モデルで記述できる系に対して計算機シミュレーションを行なって、系のパワースペクトルを計算しSN比を求め確率共鳴現象を調べた。その結果、単独の場合と同様SN比が最適になるノイズの強さが存在し、それは結合の強さによって変化することがわかった。しかも、SN比がもっとも大きくなる最適なノイズの大きさと結合の強さの組み合わせが存在することがわかった。また、その最適なSN比は各自由度をつなげない場合よりも大きく向上した。(2)(1)で得られた成果を元に、ROC(Receiver Operating Characteristics)を計算した。その結果、単独の自由度の場合に比べて結合させた場合にはROCも改善されることがわかった。したがって、確率共鳴現象を信号処理へ応用できる可能性がしめされた。(3)ニューロンの活動を表すモデルとして生理学的な実験から求められたホジキン・ハックスレイモデルを簡単化したフィッツヒュウ・南雲モデルを用い、それらがグローバルに結合している系、すなわちニューラルネットワークをモデル化した系に関して計算機シミュレーションを行なって確率共鳴を調べた。特に信号が単一の周波数である場合だけでなく、一般的な場合に関しても系の出力である発火頻度と信号との相関係数および両者の相互情報量を調べ従来のSN比で現れたと同様の確率共鳴現象(最低なノイズの大きさに対して極大となる。)が認められた。(4)(3)で調べた系の結合をヘブ則によってきめることでこの系に記憶を埋め込み連想記憶の性能を調べた。その結果入力に適当な大きさのノイズが加わった時想起がもっとも良く起るという、確率共鳴的な性質があることがわかった。これらの研究成果を9月に物理学会(新潟市)、11月にInternationl Conference on Dynamical Aspects of Complex Systems from Cells to Brain(仙台)にて発表した。また、関連した研究をJPSJに発表している。
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Research Products
(1 results)