2000 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶Ni基超合金のリコーティング障壁克服と制御結晶崩壊防止への新展開
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12650072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 正和 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00134974)
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Keywords | 単結晶Ni基超合金 / 損傷 / 変質域 / 疲労強度 / 補修 / リコーティング / 界面制御 / 非破壊的検出 |
Research Abstract |
最近のガスタービンの基本的な開発動向は高熱効率化と同時に低コスト化にあることは言うまでもなく、近い将来、Ni基合金の単結晶動・静翼のリコーティングや補修、さらには、リサイクルの技術が必須になることは疑いないであろう。本研究では、これらの背景に鑑み、単結晶中に生成され得る変質域が疲労強度に与える影響を定量的に調査するとともに、その影響度を低減化させる手法や、変質域の存在を非破壊的に検出する手法について検討した。 その結果、以下のことを明らかにした。 (1)単結晶超合金CMSX-4に室温で塑性変形をともなう予ひずみを導入した後、回復熱処理を施すと、予ひずみを与えた領域を核として、セル状の変質域が形成されること、この変質域は、(i)回復熱処理の際の温度、(ii)与えるひずみ場、(iii)材料中のミクロ偏析などの影響を受けて種々の形態を伴いながら生成、成長すること、変質域の形態変化にはγ′相の再固溶が大きくかかわっていることを示した。 (2)これら変質域の生成は、疲労損傷や熱疲労損傷など、実機部材で想定される損傷を受けたときにも形成され得ることも示した。 (3)単結晶超合金中にいったん変質域が形成されると、高温疲労き裂はその部分から優先的に発生・伝ぱし、高温疲労強度を著しく低下させることも示し、今後、単結晶材のリコーティング、補修技術の開発には、これら変質域生成の機構解明や抑制策に関する研究が急務であることを指摘した。 (4)上述の変質域の影響度を低減させるための粒界強化元素の影響、ならびに、表面コーティングの影響についても検討し、ある程度の有効性を確認した。 (5)変質域の存在を非破壊的に検出する手法について検討し、超音波法が有効な手法になり得ることも示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masakazu Okazaki: "EFFECT OF LOCAL CELLULAR TRANSFORMATION ON FATIGUE SMALL CRACK GROWTH IN CMSX-4 AND CMSX-2 AT HIGH TEMPERATURE.-For Refurbishment Technology-"Superalloy 2000. 505-515 (2000)
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[Publications] 岡崎正和,日浦智之,鈴木俊夫: "予損傷を受けた単結晶Ni基超合金におけるセル状変質域生成と高温疲労強度への影響"材料. 50. 94-1000 (2001)
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[Publications] 岡崎正和,鈴木俊夫,高久歴,日浦智之: "結晶制御Ni基超合金中に生成される異結晶域影響度の低減化の試み"日本材料学会第38回高温強度シンポジムム前刷. 11-15 (2000)
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[Publications] 岡崎正和,日浦智之: "単結晶Ni基超合金中に生成するセル状変質域の核生成と成長機構"日本材料学会第49期学術講演会前刷. 103-104 (2000)
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[Publications] 岡崎正和,日浦智之,難波浩一: "単結晶Ni基超合金のリサイクル,リコーティング技術開発への強度的支援"日本機械学会材料力学部門講演会前刷. 00-19. 355-356 (2000)