2000 Fiscal Year Annual Research Report
原子論的シミュレーションによる半導体超微細構造のひずみ緩和機構の研究
Project/Area Number |
12650074
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
新谷 一人 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00162793)
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Keywords | ナノテクノロジー / 分子動力学シミュレーション / 半導体ナノ構造 / 量子ドット / 結晶成長 / ひずみ緩和 / エピタキシー / 表面ステップ |
Research Abstract |
1Si/Ge/SiならびにGaAs/InAs/GaAs量子ドット構造のひずみ分布を、共役勾配法と分子動力学法の2種類の方法により求めた。まず、KeatingポテンシャルとStillinger-Weberポテンシャルを用いた共役勾配法によって量子ドット構造の最低エネルギー原子配置を計算した。ドットの形状として{110}あるいは{105}ファセットの側壁を持つピラミッド形状を仮定した。2つのポテンシャルによる結果はピラミッドの底面に沿う方向の垂直ひずみに関してはほぼ一致するが、ピラミッドの底面に垂直方向の垂直ひずみのドット内部における大きさに違いが生じること、Keatingポテンシャルによる基板内部のひずみ分布は力学的に不合理であり、Keatingポテンシャルは100nm程度の小さなドットに対してその妥当性を失うことが明らかとなった。次に、Tersoffポテンシャルを用いた分子動力学法によりSi/Ge/Si量子ドット構造の動的なシミュレーションを行い、量子ドット構造内部のひずみ分布に対する温度の影響を調べ、また、光学振動モードに対するフォノンの状態密度を求めた。その結果、動的なシミュレーションによるドット内部のひずみ分布は共役勾配法による結果と定性的に一致するが、温度を考慮するとピラミッド底面に垂直方向の垂直ひずみが大きくなること、光学振動モードに対するフォノンの状態密度のピーク位置がバルクの結晶におけるピーク位置から高周波側ヘシフトすることが明らかとなった。 2Si/SiとGe/Siのエピタキシャル成長の素過程として、Si基板上に蒸着する単一のSi原子ならびに単一のGe原子のマイグレーションを取り上げて、その分子動力学シミュレーションを行った。基板温度と堆積原子の入射エネルギーを変化させてマイグレーションの様子を調べた。その結果、堆積原子の堆積位置は基板温度と入射エネルギーに依存するが、堆積原子は基板表面のダイマー列の方向にマイグレーションする傾向にあり、このことは第一原理計算で予想される結果に一致すること、また、表面にS_AステップあるいはS_Bステップがある場合には、S_Bステップの方がSi原子を補足しやすいことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Kikuchi: "Strain profiles in pyramidal quantum dots by means of atomistic simulation"Journal of Applied Physics. 89. 1191-1196 (2001)
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[Publications] K.Shintani: "Atomistic study of strain profiles in semiconductor quantum dot structures"Materials Research Society Proceedings (Semiconductor quantum dots II, edited by R.Leon et al.) . 642. J3.2.1-J3.2.6 (2001)
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[Publications] 本多敦史: "薄膜のひずみ緩和機構に及ぼす表面ステップの影響(分子動力学シミュレーション)"日本材料科学会平成12年度学術講演大会講演予稿集. 105-108 (2000)
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[Publications] 杉井弘嗣: "分子動力学法による半導体ナノ構造の解析"日本機械学会平成12年度材料力学部門講演会講演論文集. No.00-19. 539-540 (2000)
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[Publications] 杉井弘嗣: "半導体ナノ構造の分子動力学シミュレーション"日本機械学会関東支部第7期総会講演会. (2001)
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[Publications] 宮田剛: "転位の動力学数値シミュレーション"日本機械学会関東支部第7期総会講演会. (2001)