2000 Fiscal Year Annual Research Report
高速進展き裂の分岐過程とエネルギー開放率の連続性に関する実験的研究
Project/Area Number |
12650082
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 新一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60135415)
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Keywords | 破壊力学 / 脆性破壊 / 衝撃強度 / き裂進展 / き裂分岐 / き裂開口変位 / 実験応力解析 / 光計測 |
Research Abstract |
本年度は、以下に示す2つの研究を実施した。 エネルギー解放率の測定 高速進展き裂が2つに分岐する瞬間を、正反射型高速度ホログラフィ顕微鏡法で撮影した。試験片には厚さ3mm透明PMMA平板を用い、分岐の前後10μs以内のき裂を撮影した。観測領域直径は25mm、空間分解能は約7μm、コマ間隔は5μsである。得られた写真から、以下の結果を得た。 (1)分岐直前のき裂速度は、約680m/sである。分岐直後のき裂速度は、分岐前に比べて僅かに減少するものの、大きな速度変化はない。 (2)分岐前のき裂の開口変位(COD)は、き裂先端からの距離rの1/2乗に比例する。したがって測定されたCODから、動的破壊力学の理論式を用い、分岐前のき裂のエネルギー解放率が求められる。 (3)分岐後のき裂では、母き裂のCODが√rに比例する。したがって母き裂のCOD測定から、分岐後のき裂のエネルギー解放率が求められる。枝き裂のCODは必ずしも√rに比例しない。 (4)COD測定から得られたエネルギー解放率は、き裂の分岐位置を挟んで連続である。エネルギー解放率は、き裂進展に伴って連続的かつなだらかに増加しており、分岐位置における不連続的な変化はない。 試験片両面でのき裂形状の撮影 分岐した直後の高速進展き裂の形状を、試験片の両面において撮影した。撮影には、2台のパルスホログラフィ顕微鏡法の光学系を用いた。撮影された写真から、以下の結果を得た。 (1)分岐直後における試験片両面でのき裂形状は、互いにほぼ一致している場合もあるが、異なるき裂形状を持つ場合が多数存在する。 (2)したがって一般的には、分岐直後のき裂形状は、試験片の両面において一致しておらず、"分岐直後のき裂は3次元的に進展している"と言える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴木新一,森田康之,坂上賢一: "高速度ホログラフィ顕微鏡法とモアレ干渉法による分岐き裂の開口変位測定"日本機械学会論文集(A編). 67巻655号. (2001)
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[Publications] Shinichi Suzuki,Kenichi Sakaue,Yasuyuki Morita,Taichi Mori : "Method for Successive Photographing of Rapid Crack Bifurcation by Means of High-Speed Holographic Microscopy"Proceedings of the 24^<th> International Conference on High-Speed Photography and Photonics. (2001)
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[Publications] 坂上賢一,鈴木新一: "高速進展き裂が分岐する瞬間の平板試験片両面における同時撮影"日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. (2001)
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[Publications] 鈴木新一,木村英之,渡辺雄三: "モアレ干渉法による分岐き裂の開口変位測定-開口変位に対するき裂分岐角の影響-"日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. (2001)
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[Publications] 鈴木新一,坂上賢一,水田貴之,佐々木泰利: "高速進展き裂の分岐時におけるエネルギ解放率の測定"日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. No.00-19. 303-304 (2000)
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[Publications] 森田康之,鈴木新一: "モアレ干渉法による静止分岐切欠きの開口変位測定"日本機械学会2000年度年次大会講演論文集 Vol.III. No.00-1. 203-204 (2000)