2001 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアーク酸化法によるアルミニウム合金の摩擦摩耗特性の向上に関する研究
Project/Area Number |
12650090
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 理一 徳島大学, 工学部, 教授 (00112235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 大介 徳島大学, 工学部, 助手 (70314846)
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Keywords | 摩擦摩耗 / 表面改質 / アルミニウム合金 / アークイオンプレーティング / CrN / TiN |
Research Abstract |
平成12年度の結果から,アルミニウム合金の摩擦摩耗特性を向上させうる薄膜として,ヤング率が低く,靱性に優れた薄膜が有望であることが明らかになった.これを踏まえ,本年度はCrN薄膜を採用し,TiNとの比較からその有用性を検討した.基板材料としてはCu-Mg系アルミニウム合金JISA2024を用い,アークイオンプレーティング法によって,同じ膜厚となるようにCrNおよびTiN薄膜の被覆を行った.摩耗試験はボールオンディスク方式により行った.その際,相手材はベアリング鋼球で,すべり速度250mm/s,垂直荷重1-5Nとした. 摩擦摩耗試験の結果,CrN薄膜の摩耗量はTiN被覆材に比べて改善され,相手材であるベアリング鋼の摩耗量もCrN薄膜の方が少なくなっていた.さらに,CrN薄膜ではTiN薄膜で間題となっていた膜の破損・剥離を大きく抑制することが可能となり,TiN薄膜では1Nが限界であったのに対してCrNでは3Nまで耐えうることが明らかになった.薄膜の破壊,はく離過程を明らかにすべくスクラッチ試験を行った結果,CrN薄膜はTiN薄膜よりも剥離しにくいこと,き裂の発生が生じにくいことが明らかになった.さらに,摩耗痕の連続的な観察および摩耗部の元素分析の結果,CrN薄膜とTiN薄膜とも相手材であるFeが凝着しやすく,その凝着量はCrN薄膜の方が多い傾向が見られた.ボール側の摩耗痕の観察を所定のすべり距離ごとに行ったところ,相手材がTiN薄膜の場合はアブレッシブ摩耗の痕跡が生じているのに対して,CrN薄膜を相手材とした場合はすべり距離の増大にしたがって摩耗痕がなめらかになっている様子が観察された.前述のボール摩耗量の結果とあわせて考えるとCrN薄膜では,ボール材と硬度の高い薄膜とのアブレッシブ摩耗が生じがたいため,TiN薄膜よりも摩耗量が減少したと考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ri-ichi Murakami, P.A.Dearnley: "The Potential of hard chromium diboride coating for the surface protection of aluminum alloys used in sliding contact situations"Proceedings of 2^<nd> World Tribology Congress. 793 (2001)
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[Publications] 村上理一, 米倉大介, Syed Qamma, Bin Yahna: "AIP法によりA1合金基板に被覆したTiN薄膜及びCrN薄膜の摩擦摩耗特性"日本材料学会第51回学術講演会論文集. (印刷中). (2002)