2001 Fiscal Year Annual Research Report
MA機能粉末による形状記憶素子の作製とその制御法に関する研究
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12650103
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小松 眞一郎 近畿大学, 工学部, 教授 (70140316)
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Keywords | 形状記憶合金 / Ti-Ni合金 / メカニカルアロイング / 放電焼結法 / 形状記憶特性 / 引張特性 / 熱・力学特性 / 繰返し特性 |
Research Abstract |
本研究では,メカニカルアロイング(MA)法によりCuなどの第三元素あるいはZrなどの微量元素を添加するなどTiNi系機能粉末の材料設計・作製を行い,これらの粉末を用いて作製した合金の形状回復応力,熱サイクル疲労強度などの形状記憶特性について形状記憶特性試験機を試作して系統的に調査・検討することを目的にしている.本年度は,MA法によるTiNi粉末の作製条件について系統的かつ詳細な検討を行ない,焼結体の形状記憶素子作製のための基礎となる形状記憶特性を調べることに主眼を置いた.また,形状記憶特性試験機の改良も行なった.得られた主な結果は,つぎのとおりである. (1)作製条件のうち,MA時間および回転数と粉末の組織変化の関係について検討を行った結果,粉末のアモルファス化の時間は回転数に大きく依存し,本装置では回転数500rpm, MA時間3.6ksの条件が最適であった. (2)MAの際には,粉末の凝集を抑えることが重要であるため,3種類の潤滑材を用いて検討を行った結果,TiNi合金では酸素量および炭素量がその特性に大きな影響を与えることと回収率を考慮すると,メタノールが最もよい潤滑剤であった. (3)アモルファス粉末を用いて焼結を行った結果,昨年度行った混合粉末より格段に優れたTiNiの均一組織を得ることができたが,粉末の粒径が大きいため,密度はわずかながら低下した. (4)アモルファス粉末の焼結体のDSCによる変態温度測定の結果,低温の焼結体では変態温度が明確に現れなかったが,1223Kの焼結体では混合粉末の焼結体より鋭いピークが得られ,優れた形状記憶特性を有する合金を作製できた. 以上のように,TiNiのMA粉末の作製条件を明らかにし,MA粉末の利用により昨年度の混合粉末による焼結体よりも格段に優れた形状記憶特性を有する合金を作製でき,形状記憶素子への適用の可能性を確認できた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 京極秀樹, 小松眞一郎ほか5名: "放電焼結法により作製したTi-Ni系形状記憶合金の熱・力学特性"日本機械学会論文集(A編). 67巻662号. 1667-1674 (2001)
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[Publications] H.Kyogoku, S.Komatsu et al.: "Influence of composition on thermo-mechanical properties of TiNi shape memory alloy fabricated by spark-plasma sintering"Advances in Powder Metallurgy & Particulate Materials-2001 Part 7. 1-9 (2001)