2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650111
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田村 武夫 新潟大学, 工学部, 助教授 (90115048)
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Keywords | 放電加工 / 超硬合金 / 脱イオン水 / 溶存酸素 / 加工速度 / 分解・酸化反応 |
Research Abstract |
金型材料の一つである超硬合金を大気中で加熱していくと,約620℃でその主成分である炭化タングステンWCはタングステンWと炭素Cに分解することを見いだした.溶融除去を主体とする放電加工では超硬合金はその融点である約3000℃以上に加熱されなければならない.もしも,超硬合金の放電加工が溶融除去だけでなく,炭化タングステンの分解にもとづいても行われると仮定すれば,約620℃という低い温度で加工ができることになる.本研究は,このような背景にもとづき超硬合金の高能率放電加工の確立をめざして実験を行い,以下に示す2項目に関する結論を得た. (1)超硬合金の分解過程の解明 炭化タングステンは酸素の存在する環境下ではじめて分解する.加工液に脱イオン水を用いた場合,溶存酸素に加えて,水の電気分解による酸素の供給が考えられる.したがって,放電加工によって材料は沸点以上に温度上昇することから,十分に炭化タングステンWCがWとCに分解するものと考える.実験を行った結果,・加工屑からは単体のタングステンWが検出されたこと. ・WCを構成する炭素Cは,分解した後C02として排出されたこと. 以上の理由により,脱イオン水を用いて超硬合金を放電加工すると,主成分である炭化タングステンWCは分解・酸化反応を起こすことがわかった. (2)溶存酸素量による加工速度の変化 一般に,水中に溶存できる最大酸素量は20mg/lである.溶存酸素は水温に大きく依存し,温度が低ければ低いほど増加する.ここでは酸素バブリングの手法を用いて脱イオン水中の溶存酸素量を変化させて,実験を行った.その結果,高溶存酸素脱イオン水を用いた場合,低溶存酸素濃度脱イオン水の場合と比較して,加工速度は約30%増加することがわかった.
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Research Products
(1 results)