アトムクラフトを支援する超精密安定2次元原子トラッキング制御の開発

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12650112
• Research Institution: Nagaoka University of Technology
• Principal Investigator: 高田 孝次 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80126474)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 奥山 栄樹 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80177188) ; 明田川 正人 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10231854)
• Keywords: アトムクラフト / SPM / 原子トラッキング / サブナノメートル位置決め

Research Abstract

本研究は,原子レベルの極微細加工を実現するための必須技術である原子トラッキング制御(結晶表面の任意の原子配列に沿ったSPM探針の移動・位置決め制御)方法の開発を目指すものである.平成12年度は研究初年度であり,当初計画に従って研究を実施し,以下に示す成果を得た.
(1)原子トラッキング制御の安定化と高速化:SPMとしてはSTM(走査トンネル顕微鏡)を用いた.STM探針に微細な横振動を加えることにより,結晶格子表面原子の形状に対応した傾斜信号を得ることが出来る.この傾斜信号を利用してSTM探針を原子頂点に位置決めしたり原子配列に沿って移動させるトラッキング制御方式を開発し,試作装置によりその動作を確認した.さらに,外乱振動・音響スペクトル解析を行い,この影響を低減するフイードフォワード制御などを導入した.この手続きにより振動・熱変形に対する安定性を向上するとともに高速化を図った.
(2)2次元の任意方向への原子トラッキング制御法の開発:結晶格子表面(XY面)において,任意のXY面内ベクトルは格子の基本並進ベクトルの線形和で表される.STM探針をこの基本並進ベクトルの組だけ動かせば探針は目的の方向に目的とする距離だけ進む.この原理に基づき,基本並進ベクトルの組を逐次交互に検出しつつSTM探針を任意の方向・位置にトラッキングするための制御プログラムを作成し,シミュレーションによりその動作を確認した.
(3)大範囲超精密XYステージとその駆動方法の開発:可動範囲10μm×10μmでサブナノメートルの位置決め分解能をもつ高剛性で直動性に優れた平行ばね型XYステージ(PZT駆動)を設計・試作し,ほぼ所期の性能を得た.PZT駆動電源としては新たに試作した低ノイズのkV級高圧電源と高精度ラスタ走査回路を用いた.