2000 Fiscal Year Annual Research Report
耐凝着性に優れた窒化チタンバナジウムを被膜とするPVDコーテッド工具の開発
Project/Area Number |
12650133
|
Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
和田 任弘 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10141912)
|
Keywords | 旋削 / PVDコーテッド超硬合金 / 窒化チタンバナジウム / 工具摩耗 / 焼結材料 / ステンレス鋼 / 耐摩耗性 / 耐凝着性 |
Research Abstract |
チタン系セラミックスにバナジウムを添加した窒化チタンバナジウム(Ti,V)N被膜に着目し,この(Ti,V)N被膜においてTiとVの成分割合,すなわちTi/(Ti+V)におけるTiの割合を種々変化させた被膜を超硬合金の母材にPVDコーティングした工具を試作した.さらに,これらの試作工具で,各種焼結材料,ニッケルを多く含む合金鋼の被削材を高速度切削し,(Ti,V)N被膜におけるTiとVの成分割合が工具摩耗を及ぼす影響を調べた.さらに比較のために,TiCN,TiAlN被膜についても同様な実験を行い工具摩耗を調べた.平成12年度で得られた主な結果を次に示す. (1)超硬合金K10種を母材とし,TiN(=Ti100V0N)被膜,Ti75V25N被膜,Ti50V50N被膜をPVDコーティングしたコーテッド超硬合金を試作し,被膜の硬さならびにスクラッチ強度を調べた.その結果,Ti75V25N被膜のコーテッド超硬合金の被膜硬さならびにスクラッチ強度が最も優れていることがわかった. (2)上述の各種PVDコーテッド超硬合金工具で,焼結鍛造材および純鉄焼結材を旋削すると,Ti75V25N被膜のコテッド超硬合金工具の摩耗進行が最も遅くなった. (3)さらに,(Ti,V)N被膜の摩耗形態を明らかにするために,被膜摩耗面のSEM観察,およびEDX分析を行った.その結果,焼結鍛造材および純鉄焼結材の旋削では,いずれのPVDコーテッド超硬工具の主な摩耗形態は,アブレシブ摩耗であることを明らかにした.(4)ニッケルが多く含まれている鋼材としてSUS310を取りあげ,SUS310の旋削を行った.この結果,Ti50V50N被膜のコーテッド超硬合金工具の摩耗進行が最も遅くなった. (5)過共晶Al-Si合金の旋削では,いずれのPVDコーテッド超硬合金工具の摩耗進行に大差ないことがわかった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.HANASAKI,J.FUJIWARA,T.WADA and K.HIRO: "TOOL WEAR OF PVD COATED CEMENTED CARBIDE TOOL IN TURNING OF FORGED MATERIAL"PROGRESS OF CUTTING AND GRINDING, Vol.IV, (Porceedings of 5th.Inter.National Conference on Progress of Machining Technology). 95-100 (2000)
-
[Publications] 和田任弘,芳本尚三: "焼結鉄材切削における工具摩耗"日本機械学会講演論文集No.005-2('00-10,中国四国支部・九州支部合同企画徳島地方講演会). 263-264 (2000)
-
[Publications] 和田任弘,三木智博,羽生博之: "Al-17%Si合金切削における工具摩耗"日本機械学会講演論文集No.005-2('00-10,中国四国支部・九州支部合同企画徳島地方講演会). 265-266 (2000)