2001 Fiscal Year Annual Research Report
数値シミュレーションによる脳動脈瘤破裂のメカニズムに関する研究
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12650155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 まり 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40242127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 清 帝京大学, 医学部, 講師 (40197059)
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Keywords | 未破裂脳動脈瘤 / FEM / 医用画像 / 血流-血管壁の連成問題 / DSD / SST / せん断応力 / 境界条件 / 格子生成 |
Research Abstract |
脳動脈瘤の破裂はくも膜下出血を起こす主要因であり、破裂のメカニズムを把握することは重要な課題である。くも膜下出血は起きた場合の到死率が大きく、現状では破裂の危険性を予知することができないため、瘤の発見された段階で手術を行うのが通常である。しかし、手術は患者にとって負担が大きく、危険を伴うため、本研究においては脳動脈瘤の破裂の危険性を予測できる手法として、数値シミュレーション、システムの構築を提案している。 患者の個別診断に役立てるため、CT画像や超音波流速計を用いて得られる実際の血管形状や流速情報を用いて解析を行っている。特に本研究では血流の流体力学的な要因に着目し、血管や瘤形状が流速分布や壁面せん断応力にどのような影響を与えるのかを調べる。さらに、これらの医用画像や計算結果のアニメーションなどをデータベース化し、統計的な処理をすることにより、血管形状と血行力学の関係を考察する。また、現在は、壁面を剛体壁として扱っているため、弾性の影響を入れた血流-血管壁相互作用の数値解析のモデル化を行っている。以下に、平成13年度の成果を簡単にまとめる。 1)医用画像に基づく数値解析による血管形状の血行力学に与える影響の考察 医用画像としてはCT画像を用いて3次元形状の解析モデルの構築を行っている。モデルには画像自体の解像度による誤差、測定誤差、スムージングによる誤差などが含まれているため、これらの要因がどのように解析結果に影響を与えるかを定量的に評価する必要がある。解析形状の誤差の評価を行うと同時に、データベースを作成するさいの形状のパラメータの指針をまとめ、データベースの構築を行った。このデータベースを用いて医用画像および解析結果の画像をまとめ、形状パラメータに基づき多変量解析を行うことにより、形状と血行力学的特長を検討し、知見を得た。 2)血流-血管壁相互作用の数値解析のモデル化 血管は血液の脈動に応じて径が伸縮する。特に、脳動脈瘤はせん断応力の影響とともに血管壁にかかる圧力により、破裂すると考えられている。したがって、血管や瘤の形状によって変化する流れや応力が、血管壁にどのように影響を与え、変形させていくのかを把握する必要がある。ここでは、DSD/SST(Deformable-Spatial-Domain/Stabilized-Space-Time)法およびALE(Arbitrary Lagrangian-Eulerian)方に基づいて、血管の弾性壁の影響を考慮した血流-血管壁の連成の解析コードを開発し、両手法の比較、検討を行った。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] Oshima, M.: "Finite Element Simulation of Blood Flow in the Cerebral Artery"Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering, ELSEVIER. 191. 661-671 (2001)
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[Publications] 大島まり: "計算バイオメカニクスによる血管障害のメカニズムの解明"生産研究. 53・3. 174-176 (2001)
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[Publications] Torii, R.: "The Homodynamic Study of the Cerebral Artery Using Numerical Simulations Based on Medical Imaging Data"Journal of Visualization. 14. 277-284 (2001)
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[Publications] 鳥井亮: "分岐を考慮した脳血管内流れの数値解析"生産研究. 53・3. 179-182 (2001)
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[Publications] Takagi, K.: "Postischemic administration of DY-9760e, a novel calmodulin antagonist, reduced infarct volume in the permanent focal ischemia model of spontaneous hypertensive rat"Neuol Res. 23. 662-668 (2001)
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[Publications] Nakagomi, T.: "Cisternal washing therapy for the prevention of cerebral vasospasm following aneurysmal subarachnoid hemorrhage"Acta Neurochir [Suppl]. 77. 161-165 (2001)
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[Publications] Oshima, M.: "Experimental and Numerical Investigation of Blood Flow in the Cerebral Artery"2nd European Conference on Computational Mechanics. (CD-ROM). (2001)
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[Publications] Oshima, M.: "NUMERICAL INVESTIGATION OF GEOMETRY FACTORS IN HEMODYNAMICS OF INTRACRANIAL ANEURYSMS"Sixth U.S. National Congress on Computational Mechanics, ABSTRACTS. 368 (2001)
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[Publications] 鳥井亮: "内頚動脈を模した曲がり管の流体構造連成解析"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集(IV). F-0819 (2001)
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[Publications] Oshima, M.: "Numerical Study of Homodynamic Effect of Intracranial Aneurysms"Proceedings of the First International Symposium on Advanced Fluid Information, AFI-2001, ISSN 1344-2236, IFS-TM013. 131-136 (2001)
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[Publications] 大島まり: "数値シミュレーションによる血管形状に起因する血行力学"日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集, PaperNo.301. (CD-ROM). (2001)
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[Publications] 鳥井亮: "脳動脈瘤成長の流体構造連成解析"日本機械学会第12回バイオエンジニアリング学術講演会・秋季セミナー講演論文集. 1B43 (2001)
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[Publications] 長野京平: "データベースを用いた血管形状が脳動脈瘤に与える影響の検討"日本機械学会第14回計算力学講演会講演論文集, PaperNo.305. 271-272 (2001)
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[Publications] Torii, R.: "Numerical Simulation System for Blood Flow in the Cerebral Artery Using CT Imaging Data"JSME International Journal, Series C. 44・4. 982-989 (2001)
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[Publications] 堀内康広: "海綿動脈洞を模擬した同軸円管内の熱流体解析"第15回数値流体力学シンポジウム. (CD-ROM). E06-2 (2001)