2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境圧力の変化を受ける生体組織中の気泡生成と気泡塞栓に関する研究
Project/Area Number |
12650174
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
辻野 智二 熊本大学, 教育学部, 教授 (80006197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井小萩 利明 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90091652)
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Keywords | 気泡塞栓 / 血液ポンプ / 人工弁 / 減圧症 / 気泡 / HITS / キャビテーション / 潜水病 |
Research Abstract |
潜水病の発症メカニズムの解明に関連して、これまで、血液や水中での気泡生成に関する成果を得てきたが、筋肉や脂肪などの生体軟組織中での気泡生成に関する知見は未だ不十分である。よって、今年度は、環境圧力の変化を受けた生体軟組織中の気泡生成の解明を目途して、以下の実験研究を行った。 筋肉擬似モデルとして、アガロースおよびアガロースLE(低電気浸透性)および脂肪擬似モデルとして、粘度計校正用標準液(JS1000、JS160000)を採用し、高圧制御実験装置を用いて、これら生体軟組織モデル中で発生する気泡の数密度の計測および気泡形状等の観察を行った。実験条件は、供試高圧ガスとして二酸化炭素、空気、ヘリウム、ガス加圧力P=0.2〜1.0MPa、加圧時間1〜4時問である。気泡の観察には、実体顕微鏡とデジタルカメラ等からなる微細気泡観察装置を用いた。得られた結果は、次のようである。 (1)アガロース、アガロースLE、脂肪中で生成する気泡の数密度は、ガス加圧力が大きいほど、また、加圧時間が長いほど増大する。 (2)アガロースおよびアガロースLE中におけるヘリウムの気泡数密度は、二酸化炭素および空気の場合と比べて高値を示す。 (3)アガロースおよびアガロースLE中で生成する気泡の大きさは、二酸化炭素気泡が最も大きくなり、次いで、空気、ヘリウムの順となる。 (4)潜水時の呼吸系混合ガスとしてヘリウムが推奨されている。しかしながら、生体軟組織中に溶解するヘリウムの場合は、その気泡サイズは比較的小さいものの、気泡数密度は高値を示すことから、ヘリウム潜水の安全性には疑問が残る。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 辻野智二, 三浦誠, 浦西和夫, 塚本光夫, 平井和人: "左心補助用マイクロ血液ポンプの試作に関する研究"ターボ機械. 30巻・8号. 479-485 (2002)
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[Publications] 辻野智二, 井上健次郎: "ガス過飽和液体の気液二相流動に関する研究"熊本大学教育学部紀要、自然科学. 51号. 19-30 (2002)