2000 Fiscal Year Annual Research Report
噴霧の生成メカニズムとそのモデリングに関する基礎的研究
Project/Area Number |
12650189
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
稲村 隆夫 弘前大学, 理工学部, 教授 (10143017)
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Keywords | 液体微粒化 / 液体噴流 / 分裂機構 / 数値シミュレーション / 安定解析 / 微粒化特性 / 自動車用インジェクター / ロケット用噴射器 |
Research Abstract |
本研究の目的は,液体の微粒化現象における噴霧の生成メカニズムを明らかにし,実測値を必要としない汎用性のある噴霧流動数値シミュレーションの構築のため,噴霧生成過程のモデルを作成することにある。 著者らの界面追跡法を用いた液噴流界面の変形に関する数値シミュレーション結果によれば,界面の微小乱れの増幅過程では,気液の相対速度によるせん断力が大きな役割を果たしている。これらのシミュレーション結果を参考に,まず液噴流の微粒化過程を観察して噴出直後に液噴流の連続部分の存在することを明らかにし,その運動を簡単なモデルを作成して調べた。その結果,液噴流の分裂長さは,周囲気流速度の増大とともに指数関数的に減少することが明らかとなった。この結果を実測値や他の研究者により報告されている実験式と比較すると,気流速度に対する分裂長さの変化は定性的には実測値や実験式と一致するものの,絶対値はかなり小さくなることが分かった。次に,このモデルを噴霧流動のシミュレーションプログラムに組み込み,液噴流周りの流れ場を計算して気液の相対速度を求め,これを用いて気液界面の線形安定性解析を行って,生成する噴霧の粒径ならびに液滴速度を求めるモデルを作成した。このモデルを用いた数値解析の結果,生成する噴霧粒子の平均粒径は周囲気流速度の増大とともに指数関数的に減少することが分かった。この結果を,気流微粒化における抜山・棚沢の式と比較すると,気流速度が100m/s以上の高速領域では,両者は定量的にほぼ一致するものの,100m/s以下の低速領域では,計算値は実験式よりもかなり小さくなることが分かった。予測精度を上げるためには,噴射弁出口近傍における流れ場を正確に求める必要がある。 以上構築したモデルを検証するために,ピエゾ素子によって液噴流に微小乱れを与える装置を組み込んだ気流噴射弁を設計試作した。現在,試作した噴射弁の微粒化実験を行うためのシステムを製作中である。
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Research Products
(2 results)