随伴作用素表現に基づく対流熱伝達問題の感度解析と伝熱最適設計への応用

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12650204
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 桃瀬 一成 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00211607)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 木本 日出夫 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70029495)
• Keywords: 対流熱伝達 / 境界条件 / 感度解析 / 最適設計 / 最適制御 / 随伴問題 / 数値解析

Research Abstract

近年のコンピュータの高速化および数値解析手法の充実に伴い熱対流場の数値シミュレーションが実用になりつつある.しかしながら,これを最適設計ツールまたは最適制御ツールとして利用しようとすると,ある状態における感度(設計変数の微小変化に対する目的関数の変化)を求めるだけでも場のシミュレーションを膨大な回数繰り返す必要があり,現在のコンピュータでも非力である.そこで本研究では,場の基礎方程式を直接シミュレーションするかわりに,その随伴問題を設定し,これを数値シミュレーションの手法を用いて求めることにより直接感度を求めることを提案する.そして,現実的計算時間で実行可能な伝熱最適設計制御システムの構築を目的とする.
平成13年度に得られた知見を以下にまとめる.
1.強制対流熱伝達問題に対しては,そのエネルギー方程式の線形性から直接随伴方程式が得られ,この随伴系に対する数値解析は時空間を反転したシミュレーションとなる.その結果,任意の時刻における最適熱的境界条件が高々1回の随伴系に対する数値解析結果から得られ,熱的境界条件に対する最適制御が可能である.
2.浮力の影響や流れの境界摂動を伴うような非線形対流熱伝達系に対しては,微小な時間内で基礎方程式系を線形化することにより,これに対応する随伴方程式系が得られる.その結果,任意の時刻において熱および流れの境界摂動に対する感度推定が可能となる.

Research Products

• [Publications] 桃瀬 一成: "対流熱伝達特性に対する熱および流れの境界摂動の影響(随伴作用素表現に基づく数値解析)"日本機械学会論文集(B編). 66-646. 1473-1479 (2000)
• [Publications] Kazunari Momose: "Adjoint Numerical Approach to Convection Heat Transfer Problems"Proceedings of the 4^<th> JSME-KSME Thermal Engineering Conference. Vol.1. 505-510 (2000)
• [Publications] 桃瀬 一成: "強制対流熱伝達問題における非定常熱的境界条件の影響"日本機械学会論文集(B編). 67-657. 1205-1211 (2001)
• [Publications] Kazunari Momose: "Reverse Computation of Forced Convection Heat Transfer Using Adjoint Formulation"Proceedings of the 2^<nd> ICHMT Symposium on Advances in Computational Heat Transfer. Vol.1. 647-654 (2001)
• [Publications] Kazunari Momose: "Adjoint Approach to Inverse Analysis of Convection Heat Transfer"Proceedings of the 4^<th> International Conference on Inverse Problems in Engineering. (発表予定). (2002)