2001 Fiscal Year Annual Research Report
透明伝熱面による気泡底部の観察と液膜厚さの実測に基づいた核沸騰熱伝達機構の解明
Project/Area Number |
12650207
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大田 治彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50150503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新本 康久 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30226352)
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Keywords | 沸騰 / 二相流 / マクロ液膜 / ミクロ液膜 / センサー |
Research Abstract |
本年度(平成13年度)は、以下のとおり研究を行った。 1.透明伝熱部テストセクションの開発 新しい透明伝熱部として、管に金属薄膜をコーティングし、これに直接通電を行うことにより、発熱させるとともに、金属薄膜を抵抗温度計として、その電気抵抗値を計測することにより、表面温度を推定する方法を検討した。金属膜は厚さ0.01μmオーダで半透明であり、金属膜を通して気液界面挙動の観察が同時に可能となる。この伝熱部を管群蒸発器を模したテストセクションに組み込み、管と管との間の間隙を変化させることにより、とくに狭隘サブチャンネルを対象として、扁平気泡における気液界面挙動の観察と熱伝達特性の把握を行った。伝熱管は外径9mm、加熱長さ270mmで、垂直な矩形ダクト内に半周のみが対向して2本垂直に配列される。管と管の間の最短の間隙の大きさは0.5、1.0、2.0mmとした。垂直上昇流を対象として実験を行った。 2.試験液体としてFC72を使用して、圧力0.1MPa、飽和温度56℃、質量速度150、300kg/m^2s、熱流束1.0×10^4〜1.3×10^5W/m^2の条件下で実験を行った。 ハードウェアに関して、以下のように確認された。i)透明伝熱部により加熱、観察、熱伝達データの測定が同時に可能となることが確認された。ii)金属薄膜の電気抵抗値と温度の関係は加熱の反復により変化してゆくが、十分な焼鈍と頻繁に検定を繰り返すことにより、十分な精度で熱伝達データが得られることを確認した。 一方、得られた熱伝達データと映像から以下の結果を得た。iii)質量速度一定で間隙を小さくすると、熱伝達が促進する効果が確認できた。iv)間隙が小さい場合、質量速度の低下に伴って扁平気泡が大きく成長するので、伝熱促進効果は大きくなる。V)扁平気泡の底部ではミクロ液膜内にドライパッチが明瞭に観察され、一般にこのような系においては、伝熱促進と伝熱劣化の相反する効果とが共存していることが確認された。
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