Research Abstract |
片持送水管の不安定現象を安定化するために,種々の能動制御手法が提案され,限界流速の向上に著しい効果があることが示されてきている.徒来の能動制御系設計手法は,はじめに限界流速(能動制御を想定していない),強度,重量などの構造設計に関する規範に基づいて送水管を設計した後,能動制御を行うコントローラを設計する2段階からなっていた.送水管の能動制御系設計の主要な目的は,その限界流速の向上であるが,上述の設計手法では,構造系である送水管は,能動制御の適用を想定して設計されていないため,制御を行った閉ループ系の限界流速力が最大になる保証はない. 本研究では,1本の断面形状可変なはりが,2本の送水管ではさまれた複合送水管を考え,閉ループ系の限界流速が最大となるように,構造系の設計変数であるはりの形状,センサ・アクチュエータ配置と,制御を行うコントローラを同時に最適設計する手法を開発した.はりの形状は,長手方向に等分割された各部分の幅が調整可能な段付形状とし,コントローラは,LQG制御則により求めるものとした.最適設計の意味が明確となるように,最適化の過程ではりの総体積は一定とし,制御を行うためのエネルギ量には上限値を定めた.本最適設計問題に対して,局所ランダム探索による最適設計法を提案した.シミュレーションにより,最適なはり形状,センサ・アクチュエータ配置は,操作エネルギ量の上限値に依存して変化することがわかった.この結果は,送水管の能動制御系設計において,同時最適設計の手法を適用する必要性を強く示唆するものである.シミュレーション結果に基づき実験を行い,最適設計された閉ループ系の限界流速が,理論値と非常に高い精度で一致することを確認した.さらに,同時最適設計が,従来の能動制御手法で得られた閉ループ系より限界流速が高くなっていることを確認し,提案する設計手法の有効性・重要性を示した.
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