2001 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族系添加剤による高分子フィルムの絶緑耐力の向上
Project/Area Number |
12650303
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山野 芳昭 千葉大学, 教育学部, 教授 (90134791)
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Keywords | 絶縁破壊 / 高分子フィルム / 添加剤 / ポリエチレン / 芳香族 |
Research Abstract |
昨年度は、低密度ポリエチレンに以下に示す添加剤を混入したフィルムを作製して、直流絶縁破壊強度を向上させることを試みた。使用した添加剤は芳香族で、主としてアントラセン系のものとペリレン系のものである。その結果、これら添加剤を用いることにより直流絶縁破壊強度が上昇することを実験的に証明した。 今年度は、これらの結果を踏まえて、添加剤入りフィルムのTSC(熱刺激電流)および示唆熱分析(DSC)を測定することによって、添加剤のトラップサイトにどのような状態で電荷がトラップされるか(すなわち、トラップレベルの深さ)、および添加剤を加えることによってポリエチレンフィルムの高次構造にどのような変化が生じるかについて主に検討を行った。 実験の結果、フィルム試料のTSCのピークは、無添加フィルムの場合は約28℃で現れるのに対して、添加剤入りの場合は約32℃で現れることがわかった。また、ピーク値自体は、無添加フィルムと比べて添加剤入りフィルムは約3倍程度大きいことがわかった。トラップレベルは無添加フィルムの場合は約3eVであるのに対して、添加剤入りの場合は約4.5eV程度となる。一方、DSCの測定結果からは、無添加フィルムにおける曲線と添加剤入りフィルムの曲線とには顕著な差異が見られなかった。すなわち、フィルムの結晶構造自体は、添加剤の混入による変化は見られないことになる。 また、添加剤分子の持つπ電子の励起効果に基づくキャリア電子の吸収効果については、UV吸収スペクトルの測定結果を検討したところ、それほど顕著ではないものと判断された。 以上の結果から、本研究に用いた添加剤によるポリエチレンフィルムの絶縁破壊強度の向上は、添加剤分子の持つトラップサイトに基づく効果が顕著に発揮されているものと結論づけられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 遠藤, 山野: "PEフィルムの絶縁破壊強度の上昇に及ぼすアゾベンゼン系添加剤分子の基の影響"静電気学会誌. vol.24,No.1. 53-58 (2000)
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[Publications] 岡田, 山野: "アゾベンゼン系物質の添加によるボイド放電の減少効果"電気学会論文誌A. vol.120,No.5. 614-619 (2000)
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[Publications] Y.Yamano and M.Okada: "Reduction of PD in a Void by Additives of Azobenzoic Compound in HDPE Insulating Material"IEEE Trans.on DEI. Vol.8,No.6. 889-896 (2001)
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[Publications] 山野, 永満: "ダイポールを有しない添加剤によるPEフィルムの絶縁破壊強度の上昇"静電気学会講演論文集´00. 13p,A8. 253-256 (2000)
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[Publications] 石垣, 山野: "芳香族系添加剤によるPEフィルムの絶縁破壊強度の上昇"静電気学講演論文集´01. 12a,A1. 213-216 (2001)