クリープ誘導磁気異方性を利用した超低損失・低透磁率金属薄帯コアの開発

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12650319
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 福永 博俊 長崎大学, 工学部, 教授 (10136533)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中野 正基 長崎大学, 工学部, 助手 (20274623) ; 金井 泰久 長崎大学, 工学部, 講師 (00264200)
• Keywords: 低透磁率 / 磁気損失 / 非晶質 / 結晶化 / クリープ誘導異方性 / 直流重畳特性 / トロイダルコア

Research Abstract

Fe-Cu-Nb-Si-B金属薄帯のNbおよびSi量を変化させて試料を作製し,誘導異方性と磁気損失を研究した.その結果,Si量を13-18at.%,Nb量を3at.%としたとき,大きな誘導異方性と優れた軟磁気特性が併せ得られることが明らかとなった.さらに,Smを添加することにより高異方性の誘導が可能となったが,脆性が増すため,実用材料としては適さないことが知られた.また,クリープ異方性の誘導過程を研究した結果,非晶質から極微細結晶組織に結晶化する過程で大きな異方性が誘導され,結晶化の進行中に応力を印加することで大きな異方性を誘導できることが明らかになった.これらを利用して,1MPaあたり20A/mの異方性磁界が誘導できた.
つぎに,薄帯表面の平滑度と磁区構造の関係を研究したところ,薄帯表面の平滑度を増すことにより磁化回転形の磁化過程を達成でき,磁気損失が低減された.
以上の改良を加えた作製されたFe-Cu-Nb-Si-B金属薄帯から低透磁率トロイダルコアを作製し,直流重畳特性と磁気損失調べた.その結果,作製されたコアは100kHz,0.1Tの励磁条件下(室温)で約0.6J/m^3程度の磁気損失値を示した(この値は,薄帯の古典渦電流損失値にほぼ等しく,最高性能のフェライトコアの損失値と同程度である).さらに,作製したコアとギャップ付きフェライトコアの直流重畳特性を比較したところ,作製したコアはフェライトコアの約3倍の直流重畳磁界下で使用できることが明らかになった.

Research Products

• [Publications] H.Fukunaga,N.Furukawa,H.Tanaka and M.Nakano: "Nanostructured soft magnetic material with low loss and low permeability"Journal of Applied Physics. 87. 7103-7105 (2000)
• [Publications] 田中,柳井,高橋,福永,中野: "低透磁率ファインメットコアの磁気特性"電気学会マグネティクス研究会資料. MAG-00-124. (2000)
• [Publications] A.Blachowicz,H.Fukunaga et.al.: "Magnetic softening of nanocrystalline Fe_<74>Cu_1Nb_3Si_<12>B_<10> alloy obtained by two-step heat treatment"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 215-216. 422-424 (2000)
• [Publications] 柳井,田中,高橋,中野,福永: "低透磁率Fe-Cu-Nb-Si-B薄帯の熱処理条件が磁気特性に与える影響"電気学会マグネティクス研究会資料. MAG-00-310. (2001)
• [Publications] M.Hasiak,H.Fukunaga et.al.: "Microstructure and Soft Magnetic Properties of Amorphous and Nanocrystalline Fe-Zr-Based Alloys"Scripta Materialia. 44(印刷中). (2001)
• [Publications] M.Hasiak,H.Fukunaga et.al.: "Effect of Co Addition on Microstructure and Magnetic Properties of (Fe_<86-X> Co_X)-Zr-B Alloys"Scripta Materialia. 44(印刷中). (2001)