2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12650327
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (40247573)
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Keywords | チタン酸鉛セラミックス / チタン酸バリウムセラミックス / PZTセラミックス / 分極電界依存 / 結晶配向度 / 抗電界 / ドメインクランピング / 90°ドメイン回転 |
Research Abstract |
今年度はこれまで調べてきたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)とチタン酸鉛(PT,PLT)、チタン酸バリウム(BT)セラミックスにおける正方晶強誘電体ドメイン構造の比較を行った。 (1)結晶配向度(I_<002>)の分極電界(E)依存;PZT,PT,PLTセラミックスでのI_<002>の分極電界依存の比較を行った。尚、XRDでの(002),(200)回折ピーク強度の測定では、分極処理毎にセラミック表面の鏡面研磨を行い、セラミックバルク自体の変化を調べた。EによるI_<002>の変化は、PLT≦PT<ソフト系PZT<ハード系PZTの順に大きくなった。PTセラミックスでは特に結晶軸比(c/a)が1.048(キュリー温度:430℃)と大きく、結晶配向し難いことが原因と考えられた。 (2)ドメイン反転・回転と電気機械結合系数(kp);kpのE依存よりkp→0%のEが分極電界依存から求めた抗電界(Ec)で、(1)ソフト系PZTでEc=-2.0,+1.75kV/mm,(2)ハード系PZTで±2.0kV/mm,(3)PTでは-1.5,+1.25kV/mm,(4)PLTでは±2.0kV/mm,(5)BTでは±0.01kV/mmであった。これら正方晶強誘電体セラミックス中、特にBTのEcが小さいことが分かった。kpが極小をとるのは、Ecで電気的にドメインが打ち消し合う180゜ドメインクランピング(↑↓)が起こっているためである。更に、+3.0→0→-3.0kV/mm及び-3.0→0→+3.0kV/mmの電界印加履歴でのE=0kV/mm時のkp値は、ソフト系PZT,PTセラミックスでは一致しなかった。これは前者では機械的に軟らかいこと、後者では機械的に硬く、更に結晶異方性が大きいことが原因と考えられた。 (3)ドメイン反転・回転と誘電率(εr);εr vs.Eより全ての正方晶強誘電体セラミックスに於いて、Ecでドメインクランピングによるεrの極小が観測された。又、(1)ソフト系PZT,(3)PT,(4)PLTセラミックスでは分極電界を交番させることにより、εrは小さくなった。このことはkpは変わらず、セラミックス中のドメイン構造が変化していることを意味していた。更に、BTで初めてE=±0.35kV/mmでεrのピークが観測された。このピークは第1回目の90゜ドメイン回転によるものと考えられた。 (4)ドメイン反転・回転と周波数定数(fcp);fcp vs.EよりPT,PLTセラミックスを除いて、Ecでドメインクランピングによるfcpのピークが得られた。ドメインクランピングによりセラミックスが硬くなるためてある。又、fcpが極小になるEは90゜ドメイン回転のしきい電界に相当するものと考えられ、PT,PLT,BTセラミックスで観測された。 以上のように、正方晶強誘電体セラミックスの誘電・圧電特性等の分極電界依存より、180゜ドメインクランピングおよび90゜ドメイン回転と誘電・圧電特性との関係が明らかにできた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ogawa,H.Itoh and M.Ueda: "Poling Field Dependence of Barium Titanate Ceramics"Proc.of the 17th International Korea-Japan Seminar on Ceramics. 20-24 (2000)
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[Publications] T.Ogawa: "Poling Field Dependence of Crystal Orientation and Ferroelectric Properties in Lead Titanate Ceramics"Jpn.J.Appl.Phys.. 39・9B. 5538-5541 (2000)
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[Publications] T.Ogawa: "Domain Structure of Ferroelectric Ceramics"Ceramics International. 26・4. 383-390 (2000)
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[Publications] Y.Tsukahara,T.Kobayashi,M.Kondo and T.Ogawa: "Low Temperature Firing and Thick Film Preparation in Lead Zirconate Titanate Ceramics"Proc.of the 1st Asian Meeting on Electroceramics. (印刷中). (2000)
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[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Bipolar Pulse Poling and Space Charge Field in Lead Zirconate Titanate Ceramics"J.European Ceramic Society. (印刷中). (2000)
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[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Effect of Bipolar Pulses on Ferroelectric Properties in Lead Zirconate Titanate Ceramics"Proc.of the 12^<th> IEEE International Symposium on the Applications of Ferroelectrics. (印刷中). (2000)