2000 Fiscal Year Annual Research Report
金属フタロシアニン薄膜NO_2ガスセンサの形成と実用化
Project/Area Number |
12650343
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村上 健司 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (30182091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 健蔵 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (70022142)
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Keywords | 有機薄膜 / 銅フタロシアニン / NO_2ガス / 分子線源 / 薄膜微構造 / センサ特性 / アルミニウムフタロシアニン / ガス吸着 |
Research Abstract |
金属フタロシアニン(MPc)は安定性に優れ、センサ材料として有望な有機材料である。中でもフッ化アルミフタロシアニン(AlPcF)は一次重合することから、結晶性の良い薄膜が形成できる。そのため高い電気伝導を持ち、NO_2ガス分子の吸着に対し変化量(ガス感度)も大きい。しかしながら、AlPcF蒸着薄膜は隙間の多い構造となり、ガス分子の薄膜内部への拡散を容易にする。この内部拡散が、応答/回復特性を劣化させる大きな要因となっている。そこで、ガスの膜内への拡散を抑制することによる、センサ特性の改善を試みた。比較のため、従来の銅フタロシアニン(CuPc)蒸着薄膜についても同様な測定を行った。 1、高濃度NO_2ガスに暴露することにより、膜内の吸着サイトを予めNO_2で占有させることができた。この結果、CuPc膜、AlPcF膜ともに、ガス応答に膜表面の吸着サイトが主に関与することが確認され、応答/回復特性を改善することができた。また、堆積基板であるガラス基板をフッ酸処理した結果、CuPc薄膜では、粗さの少ない粒子サイズの大きな膜が形成でき、応答の繰り返しにも安定であることが示された。 2、膜厚を20nmにまで薄くすることで、内部への拡散を大幅に減らすことができた。この結果、CuPc膜、AlPcF膜ともに応答/回復特性を改善することができた。AlPcF薄膜の場合、さらに堆積後アニールすることで、表面の粗さを減らし粒子サイズを大きくすることができた。これによって、応答の繰り返しにも安定な特性を示すことが確認された。 以上の結果から、原料分子の設計による薄膜構造の制御や特性改善の可能性が示されるとともに、MPc薄膜の極薄化ならびに分子配列制御が、実用的なNO_2ガスセンサには不可欠であることが判明し、分子線源の利用の必要性が確認された。
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