2001 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネル素子を用いた広帯域アナログ/デジタル変換器
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12650350
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Research Institution | SOPHIA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和保 孝夫 上智大学, 理工学部, 教授 (90317511)
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Keywords | アナログ / デジタル変換 / 共鳴トンネルダイオード / 量子化器 / オーバサンプリング / デルタシグマ変調 / 消費電力 / 多値回路 |
Research Abstract |
マイクロ波信号を直接デジタル信号に変換できるA/D変換技術の確立を目指し、共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いた高速・高分解能A/D変換器(ADC)の構成方法を明らかにすることを目的として研究を行った。 1.昨年度考案したRTDエンコーダ回路とRTD多値量子化器を採用し、更にRTDのラッチ機能に基づくパイプライン処理を組み込んだフラッシュ型5ビットADCを提案した。SPICEシミュレーションに基づき、回路設計、性能評価を行った結果、10GHz動作で実効分解能4.6bit(SNR=29.4dB)が確認できた。また、回路簡素化の結果、コア回路の消費電力が従来技術の約1/2(0.5W)に低減化できる見通しを得た。 2.InP系HEMTを想定したGm-C型バンドパスフィルタ(中心周波数500MHz)の設計を行った。更に、これを利用してバンドパスΔΣ変調器を設計し、回路シミュレーションを行った結果、4GHz動作で実効分解能8bitが得られた。 3.安定性に優れたカスケード方式バンドパスΔΣ変調器を提案し、多レベル信号導入(多ビット化)、動的要素整合により、素子特性変動があっても16bitの分解能が得られる可能性を示した。また、上述のRTD多値量子化回路をモデル化したシミュレーションにより、16bit動作が確認できた。 以上の結果から、カスケード方式バンドパス型ΔΣ変調器を基本に、RTD多値量子化器、HEMTバンドパスフィルタ回路を組み込み、動的要素整合を採用してADCを構成すれば、回路設計の更なる最適化により、当初の目標性能(中心周波数2GHz、帯域幅100MHz、分解能16bit)が達成できる可能性があることを明らかにした。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] K. Hattori, Y. Takamatsu, T. Waho: "An Ultrahigh-Speed Resonant-Tunneling Analog-to-Digital Converter"IEICE Trans. Electronics. Vol.E85-C, No.3. 586-591 (2002)
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[Publications] 松浦浩二, 和保孝夫: "共鳴トンネル量子化器を用いた2次連続時間ΔΣ変調器"電子情報通信学会論文誌C. Vol.J84-C, No.9. 896-897 (2001)
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[Publications] Takao Waho, Kazufumi Hattori, Yuuji Takamatsu: "Flash Analog-to-Digital Converter Using Resonant-Tunneling Multiple-Valued Circuits"Proc. of the 31^<st> IEEE International Symposium on Multiple-Valued Logic. 94-99 (2001)
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[Publications] Kazufumi Hattori, Yuuji Takamatsu, Takao Waho: "Performance Estimation of Flash Analog-to-Digital Converter Using Resonant-Tunneling MML/MOBILE Logic Gates"Proc. of the Second Korea-Japan Joint Symposium on Multiple-Valued Logic. 58-61 (2001)
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[Publications] 小林真也, 松浦浩二, 和保孝夫: "多レベルDACを組み込んだバンドパスΔΣ変調器の設計"多値論理とその応用研究会 技術報告書. MVL-02 No.1. 24-30 (2002)
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[Publications] 服部和史, 和保孝夫: "共鳴トンネルMML/MOBILE論理ゲートを用いた5bitA/D変換器"電子情報通信学会 2002年総合大会 講演論文集. C-10-5
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[Publications] 濱田則文, 和保孝夫: "パイプライン方式による共鳴トンネルA/D変換器の高精度化の可能性"電子情報通信学会 2002年総合大会 講演論文集. C-10-6 (2002)
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[Publications] 松浦浩二, 和保孝夫: "連続時間Gm-CバンドパスΔΣ変調器の設計"電子情報通信学会 2002年総合大会 講演論文集. C-10-7 (2002)
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[Publications] 梅本康代, 和保孝夫: "MOBILE超高速動作の解析:RTDシリーズ抵抗の影響"2001年(平成13年)秋季第62回応用物理学学術講演会予稿集. 3巻. 1051 (2001)