2001 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモーダル環境下における3次元音空間知覚過程の解明
Project/Area Number |
12650359
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 陽一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20143034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (60332524)
西村 竜一 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (30323116)
行場 次朗 東北大学, 文学研究科, 助教授 (50142899)
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Keywords | 音空間知覚 / 音空間合成 / マルチモダリティ / ベクション / 移動音源 / 聴覚誘導性自己運動感覚 / 体性感覚 / 聴覚ディスプレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は,聴取者の運動に伴う体性感覚情報及ぴ視覚情報が音刺激と同時に存在する場合の音空間知覚を明らかにすることを目的としている。 今年度は,聴覚情報と体性感覚情報との融合について検討を行った。視覚情報による体性感覚の誘起はペクションと呼ばれる現象として,既に多数の研究が進められているが,空間認知におけるもう一つの重要な感覚情報である聴覚情報と体性感覚情報との関係はほとんど解明されていない。実環境において人間が移動中の時の音空間を模擬するように,周囲のスピーカから移動音像を提示し,その時の被験者の自己運動感覚を判断させたところ,音像の移動の向きにあわせて,被験者の自己運動感覚が誘起されていることが示された。これは,視覚情報だけでなく聴覚情報によっても自己運動感覚が誘起されるという興味深い知見を示している。更に,音空間の提示方向によって誘起される自己運動感覚の大きさに変化が見られることも示された。具体的には,被験者に対して前方に移動する移動音源によって誘起された自己運動感覚の方が,後方に移動する移動音源によって誘起された自己運動感覚よりも大きくなった。視覚誘導性自己運動感覚では,後方に像を移動させた時に誘起される自己運動感覚の方が大きいことから,視覚と聴覚では逆の結果となることが示されている。このことから,視聴覚情報を相補的に利用し,体性感覚も含めたマルチモーダル環境下において従来のシステムにはない高精度の音空間を構築する可能性を示したといえる。 以上,2年間の研究において,頭部運動を考慮した従来にない高精度の音空間合成システムを構築し,その音空間によって誘起されるであろう体性感覚について定量化を行い,本研究の目的である,聴取者の運動を含めたマルチモーダル環境下における音空間知覚の解明に向けて大きく前進できたと思われる。
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Research Products
(1 results)