2000 Fiscal Year Annual Research Report
整数論の難しい問題に安全性の根拠を置く公開鍵暗号の開発とその強度評価
Project/Area Number |
12650360
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小林 邦勝 山形大学, 工学部, 教授 (40007191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早田 孝博 山形大学, 工学部, 助手 (50312757)
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Keywords | 情報セキュリティ / 公開鍵暗号 / 素因数分解 / 離散対数問題 / 落し戸 / El.Gamal暗号 |
Research Abstract |
安全性が高く、伝送効率も高い公開鍵暗号を開発することを目的として、整数論の難しい問題に安全性の根拠を置く公開鍵暗号の開発とその強度評価を行った。具体的には、素因数分解の難しさと離散対数問題の難しさに安全性の根拠を置く、合成数を法とする落し戸付き離散対数問題を用いた公開鍵暗号を開発し、その強度評価を行った。 1.初めに、離散対数問題に落し戸を作ることを目標として、合成数を法とする離散対数問題に落し戸を作り、この落し戸付き離散対数問題を公開鍵暗号に応用し、鍵生成と暗号化・復号化のアルゴリズムを開発した。 (1)まず、素数を法とするときの元の位数について調べ、ある位数の元が存在するための素数に関する条件を求めた。 (2)次に、合成数を法とする群について調べ、乗法群における任意の元の位数が満たす関係式を求めた。また、原始根に対応する合成数を法とする最大生成元の性質を調べた。 (3)これらの解析結果に基づき、合成数を法とする離散対数問題について検討し、位数の大きい元と小さい元を組み合わせることにより、落し戸付き離散対数問題を用いた公開鍵暗号アルゴリズムの開発を行った。 2.次に、開発した暗号の強度を評価する目的で、合成数を素数の積に分解する、素因数分解アルゴリズムについて検討を行い、素因数を求めるのに要する計算量の評価を行った。 (1)まず、床関数を用いる素因数分解アルゴリズムを開発し、その特性解析を行い、アルゴリズムの高速化をはかるための方法について検討した。 (2)次に、開発した素因数分解アルゴリズムの計算量評価を行った。これまでに提案されている方法と比べて、より高速となる結果は得られていないが、その可能性は秘めており、幾つかの新しい知見も得られた。
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