2002 Fiscal Year Annual Research Report
不確実推論を用いた高信頼度反復復号アルゴリズムの設計と解析
Project/Area Number |
12650400
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松嶋 敏泰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30219430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 茂一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30147946)
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Keywords | 不確実推論 / 復号アルゴリズム / ベイジアンネット / グラフィカルモデル / 確率モデル / 事後確率計算 |
Research Abstract |
近年,誤り訂正符号の分野で提案されたTurbo符号,Turbo復号法はその誤り訂正能力の高さから21世紀の高信頼度情報通信,蓄積技術の重要な技術として注目を集めている.最近このTurbo復号を含む反復復号アルゴリズムが,知識情報処理の分野で不確実推論アルゴリズムとして用いられている確信度伝搬(BP : Belief Propagation)アルゴリズムの応用例として解釈されることが明らかとなってきた.しかし,残念ながら複雑な確率構造(グラフ表現ではループのある構造)にBPアルゴリズムを適応した場合の性能は保証されておらず,いまだにTurbo復号法の理論的裏付けは不完全と言わざるを得ない.本研究では,BPアルゴリズムだけではなく,不確実推論の分野で用いられるアルゴリズムを事後確率計算法として一般化し,有用な符号を含む一般的確率モデルに対して,精度保証がある事後確率計算(復号)アルゴリズムの設計と理論的及び実験的解析を行うことであった. 今年度においては, 1.事後分布を拡張した一般化事後分布を定義し,証拠として,ある事象の分布が与えられたもとでの確率推論を一般化確率推論として定式化し,その推論結果に保証があるアルゴリズムを提案し,その性質を解析した.さらに計算量・メモリ量の効率をより良くしたアルゴリズムと並列アルゴリズムへの改善,及び性能解析を行った. 2.上記のアルゴリズムを,ジャンクショングラフ(JG)を拡張した拡張JGに適用して,効率的伝播アルゴリズムを提案し,その性質について考察した. 3.LDPC符号より拡張JGを構成し,2のアルゴリズムを復号アルゴリズムとして適用し,その性質について理論及び実験の両面から考察した. 4.畳み込み符号やtail-biting畳み込み符号についても拡張JGを用いて符号を表現し,2のアルゴリズムにより復号を行い,その性質について理論及び実験の両面から考察した.
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 北原正樹: "ウェーブレットパケット基底を用いた信号推定におけるベイズ決定理論の適用に関する一考察"電子情報通信学会論文誌A. Vol. J85-A, No. 5. 584-596 (2002)
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[Publications] Toshiyasu Matsushima: "An alternate Algorithm for Calculating Generalized Posterior Probability and Decoding"Proceedings of IEEE International Symposium on Information Theory. 338 (2002)
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[Publications] Toshihiro Niinomi: "On the Generalized Viterbi Algorithm using Likelihood Ratio Testing"Proceedings of IEEE International Symposium on Information Theory. 366 (2002)
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[Publications] Ryo Nomura: "On the evaluation of the achievable codelength of Fixed-length codes"Proceeding of International Sym. on Inf. Theory and Its Application. 855-858 (2002)
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[Publications] 松嶋敏泰: "一般化事後確率とその計算法"電子情報通信学会技術報告. IT2002-36. 1-8 (2002)
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[Publications] Toshiyasu Matsushima: "Calculation of Generalized Posterior Distribution on Junction Graphs"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 703-706 (2002)
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[Publications] 桑田修平: "ベイズ決定理論に基づくロバストなパターン認識に関する一考察"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 283-286 (2002)
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[Publications] 吉田隆弘: "多端子情報源符号化に基づいた分散協調問題の定式化"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 351-354 (2002)
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[Publications] 新家稔央: "リスト復号に対する判定帰還方式LR+THの誤り指数について"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. IT2002-36. 627-630 (2002)
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[Publications] Ryo Nomura: "On the Channel Capacity of Universal Channel Coding"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 635-638 (2002)
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[Publications] 斉藤友彦: "誤り訂正符号を用いた直行計画の構成法に関する一考察"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 663-666 (2002)
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[Publications] 石田崇: "単語単位で系列を出力する情報源の性質について"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. Vol.J85-A, No.5. 695-698 (2002)
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[Publications] Toshiyasu Matsushima: "Calculation of Generalized Posterior Distribution on Junction Graphs"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 703-706 (2002)
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[Publications] 須子統太: "拡張された階層モデルにおける予測アルゴリズムについて"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 755-758 (2002)
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[Publications] 野村亮: "メモリ量を低減した近似ベイズ符号化アルゴリズム"電子情報通信学会論文誌A. Vol.J85-A, No.5. 46-59 (2003)