2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650438
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青島 伸治 筑波大学, 機能工学系, 教授 (60013710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪野 浩司 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (60241791)
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Keywords | 自励振動 / 安定化 / 制御 / 蛇行動 |
Research Abstract |
本年は,鉄道車輪軸に発生する自励振動(蛇行動とばれる)を取り上げ,その発生メカニズムを考察するとともに,安定化制御法を提案した.まずレール車輪間に生じる接触力(クリープ力)を考慮して,走行する1輪軸台車の運動方程式を導出した.そして自励振動が剛性行列の非対称性に起因した非保存力によって発生することを理論的に指摘した.また走行速度をパラメータとして根軌跡を求めることにより線形安定性を考察した.さらに中心多様体理論および標準形理論をもちいて,運動方程式の低次元化と標準化を行い非線形安定性を解析した.その結果線形理論で求められた限界速度(その速度動以上で走行すると蛇行動が発生する速度)以下でも,外乱がある程度大きい場合は自励振動が発生することを理論的に指摘した.さらに自励振動の発生を防ぐ安定化法を提案した.これは剛性行列の非対称性の効果を減らすことにより安定化する方法である(限界速度は無限大になる).自励振動の安定化に際しては,これまでシステムに働く減衰力をフィードバック制御によって等価的に増加する方法がとられてきた.この場合,限界速度は増加するがそれを無限大にするには無限大のフィードバックゲインを設定する必要があった.これに対し本手法は有限のフィードバックゲインで限界速度を無限大に出来る点が大きな特徴である.また本手法は蛇行動のみならず,翼に発生するフラッタや走行ベルトに発生する自励振動など,剛性行列の非対称性に起因して発生する自励振動の安定化に応用が可能である.次に,軌条輪実験装置を作成し転走実験を行った.この結果理論で指摘されたような,非線形安定性が実験的に確認された.また提案した剛性行列の非対称性に注目した安定化制御法を用いた実験を行い,その有効性を示した.さらに来年度以降の研究テーマである時間遅れ系に発生する自励振動の安定化制御法について,差微分方程式の考え方を拡張したアプローチの応用を検討した.
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