2001 Fiscal Year Annual Research Report
樹脂エマルションによるコンクリートの水平継目強度改善効果に関する基礎研究
Project/Area Number |
12650456
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 泰彦 筑波大学, 機能工学系, 教授 (40061220)
|
Keywords | 樹脂エマルション / 水平継目 / 打重ね / 打継ぎ / コールドジョイント / 結合強度 / ブリーディング |
Research Abstract |
昨年度の実績報告書に「問題点と今後の展開」として記したように、本研究の実験では、"試験結果のばらつきが異常に大きい問題"に遭遇した。平成13年度は、このばらつきを減少させるべく、試験面に切欠きを入れる改良を施したり、型枠中の各供試体位置における振動の周期と振幅を同じにする対応を行った。これらの対応により型枠中央部2箇所および型枠両端2箇所で作製した2個ずつの供試体の試験値のばらつきは減少した。しかし、型枠中央部と両端部には依然として大きなばらつきが生じ、この原因については全く解明できなかった。そこで、本年度は、供試体の数を当初の計画の2倍に増やし、型枠中央部と両端部の供試体の試験結果を別々に扱って解析を進めることにした。このため、実験で変化させる要因数については、当初の計画より減少せざるを得なかった。ただし、当初の研究計画に記した研究目標はほぼ達成でき、以下のような新たな知見(結論)が得られた。 1.振動だけが伝わる部位では、プロクター貫入抵抗値が0.10N/mm^2以下である間に打ち重ねれば、コールドジョイント(施工不良による水平継目)は発生しない。 2.ブリーディング量が多い(水セメント比が大きい)場合にブリーディング水を除去しないで樹脂エマルションを散布すると、打重ね面あるいは打継面の結合強度は著しく損なわれる。 3.ブリーディング水を除去して樹脂エマルションを散布すると、打継面の結合強度は無処理の場合に比べて改善される。しかし、この効果は一般の打継ぎ処理工法を採用した場合と同程度以下であり、現在、口伝えによって現場に広がっている打継処理代替工法としての樹脂エマルション散布工法の適用は直ちに中止する必要がある。 4.コールドジョイント防止策としての樹脂エマルション散布工法は、樹脂エマルションの種類、散布量、配合等によって有効な場合もあるが、一般にはその適用効果はほとんどない。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 山本泰彦, 杉本宣博: "振動のみが伝達する部位でのコールドジョイントの発生条件に関する研究"コンクリート工学年次論文集. (投稿予定).
-
[Publications] 山本泰彦, 杉本宣博: "樹脂エマルションによるコールドジョイント防止策に関する研究"コンクリート工学年次論文集. (投稿予定)「土木学会・年次学術講演会」(一部分を発表予定).