2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市型廃棄物を原料として製造されるセメントの塩素固定能
Project/Area Number |
12650461
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 研至 広島大学, 工学部, 助教授 (90224716)
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Keywords | セメント / 都市型廃棄物 / 塩素 / カルシウムアルミネート / 塩化物含有量 / フリーデル氏塩 |
Research Abstract |
本研究は,カルシウムアルミネート鉱物を多く含有する都市型廃棄物を原料としたセメント(EC)について,若材齢から硬化過程における塩素固定能を検討し,また固定された塩素が炭酸化を受けた場合の挙動を合わせて把握することにより,ECの塩素含有量と鉄筋腐食の可能性との関係およびRCへの適用性について明らかとすることを目的とする。 セメントには,ECとして製造時の目標塩素含有量が0.05%,0.07%,0.1%の3種類,比較用として普通ポルトランドセメント(NC)を用いた。W/C=0.40のセメントペースト供試体により,細孔溶液ならびに水和生成物の組成分析を行い,かぶりを30mmとしてD13異形鉄筋を埋設したW/C=0.60のコンクリート供試体により,促進腐食試験(NaCl3%溶液3日間浸漬+大気中暴露4日間の繰返し試験)を実施した。 本研究にて購入した示差走査熱量計を用いることにより,合成したフリーデル氏塩やエトリンガイトの定量が可能となり,セメントによる塩素固定のうち,フリーデル氏塩による貢献分を明らかとできたが,水和生成物からのC-S-H抽出では満足な結果を得ることができず,次年度に再び試みることになった。 組成分析の結果では,水和初期における細孔溶液中の塩化物イオン濃度の低下ならびに炭酸化時の上昇が確認され,EC中の塩素が水和時には複塩等に固定されるものの炭酸化を受けた場合には解離することが明らかとなった。ただし,炭酸化時の細孔溶液における塩化物イオンと水酸化物イオンとの濃度比は,塩素含有量の低いECとNCに大きな違いがなく,ECにおいて鉄筋腐食が生じやすいとの懸念は低いと考えられる。 鉄筋の促進腐食試験においては,本年度の範囲ではあるが,自然電位ならびに分極抵抗の測定結果からはいずれの供試体においても腐食は認められず,ECとNCに相違は見られていない。試験は継続して実施している。
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Research Products
(1 results)