2000 Fiscal Year Annual Research Report
交通サービスの予約システムがもたらす社会的便益評価に関する研究
Project/Area Number |
12650530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 潔司 京都大学, 工学研究科, 教授 (50115846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 格也 京都大学, 工学研究科, 助手 (60303848)
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Keywords | 予約 / 不確実性 / 自己選抜 / 社会的便益 / 合理的期待均衡 |
Research Abstract |
本研究では,交通サービスに対する事前予約行動を合理的期待均衡モデルとして定式化した上で,そのモデルを内包した交通サービスの市場構造を分析して予約システムの導入がもたらす社会的便益について検討を行った.次年度における実証分析のために必要なデータを得るための調査方法について研究を行った. まず,交通サービスの購入にあたって2つのリスクに直面した個人の事前予約行動をモデル化した.将来時点でチケットが購入できなくなるという供給側のリスクとチケットをギャンセルする可能性があるという需要側のリスクを同時に考慮した個人の意思決定過程をモデル化し,供給側のリスクが内生的に決定されるような合理的期待均衡モデルを定式化した.さらに,供給側の行動をモデル化した上で交通サービス市場の構造を分析し,予約システムがもたらす社会的便益について理論的に検討した.その結果,供給量が固定されている状況では,予約システムの導入により社会的便益は増加するものの,消費者余剰は減少することがわかった.交通管理者の規制により,供給者の便益を消費者に還元するシステムが必要となることを明らかにした. 次に,次年度において行うモデルの推計に必要なアンケート調査の調査票について検討を行った.個人の事前予約行動に関しては個人や企業に対して訪問調査やアンケート調査を行うことにより把握することが可能であり,ある仮定の状況に対して個人がとる行動についてのデータ(SPデータ)と,実際の行動の結果についてのデータ(RPデータ)をとりうる調査票を設計した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kiyosi Kobayasi,Morimitsu Kurino: "The optimal reparing rules under demand uncertainty"2000 IEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics. 655-666 (2000)
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[Publications] 松島格也,小林潔司,小路剛志: "不確実性下における家計のサービス予約行動"土木計画学研究・論文集. 16. 655-666 (2000)
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[Publications] 小林潔司,横松宗太: "不確実性下での意思決定行動モデル-期待効用理論を越えて"国際交通安全学会誌. Vol.26 No.1. 40-47 (2000)
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[Publications] 松島格也,小林潔司: "混雑費用を考慮したタクシースポット市場の内生的形成"第35回都市計画学会論文集. No.35. 547-552 (2000)
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[Publications] 小林潔司: "地域間公平論を巡る論点と課題"運輸政策研究. Vol.3 No.3. 13-24 (2000)
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[Publications] 栗野盛光,小林潔司,渡辺晴彦: "不確実性下における補修投資ルール"土木学会論文集. No.667 IV-50. 1-14 (2000)