2002 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮を受ける円形鋼管短柱の降伏棚上での安定性に関する研究
Project/Area Number |
12650560
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井上 哲郎 筑波大学, 機能工学系, 教授 (80011146)
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Keywords | 円形鋼管 / 短柱 / 降伏棚 / 圧縮実験 |
Research Abstract |
圧縮をうける円形鋼管の塑性域における象の足モードの座屈耐力は既往の理論には接線係数Etの項がかかっており、歪硬化域に達する前に降伏棚を経験するので、どんなに径厚比が小さくても固有値的には降伏棚上でEt=0となってここで座屈してしまう。すなわち降伏棚を越えることはできない。それにもかかわらず円形鋼管は径厚比が小さくなると降伏棚で座屈せずに歪硬化域に達するような振る舞いを示すのは実験事実の示すところであり、理論との間に乖離が存在すると言わざるを得ない。他方平板は座屈時に捩れを伴う。板の捩り剛牲はどの理論によっても降伏棚上で零にならない。このことによって幅厚比の小さい板は降伏棚上で座屈を伴わず歪硬化域に達し得る。これは円形鋼管と比べて大きく異なる。そこで本研究では降伏棚のある熱間成形鋼管や降伏棚の無いアルミニウム合金鋼管短柱の圧縮実験を行い、理論との整合性を調べ、降伏棚の果たす役割を調べた。又過去に行った箱形断面短柱の圧縮実験結果と比べ、断面形状の有効性を調べた。その結果実験では径厚比の小さい鋼管が降伏棚上で座屈を経ずして歪硬化域に達すること。又実験結果は耐力について変形理論および歪増分理論による座屈式と比較したが、歪硬化域に達する試験体は歪硬化開始点以降の材料特性を適用すれば変形理論が実験結果によく合うという結果を得た。しかしこれはあくまで便法でありEt=0で解析しても降伏棚を克服できるかどうかについて、現在理論的解明を進めているところである。見通しとしては平板の降伏棚上での曲げ剛牲の値が零にならないのと同じく、曲げ剛性でいうと円形鋼管の場合も零にならないので、もし耐力を失うとすれば軸方向と周方向の局率の組み合わせが、座屈モードとして鞍形の変形を生じさせるしか無いと考えている。
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Research Products
(1 results)