2000 Fiscal Year Annual Research Report
高靭性型セメント系複合材料を用いたエネルギー吸収デバイスの開発に関する研究
Project/Area Number |
12650587
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松崎 育弘 東京理科大学, 工学部, 教授 (30138979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 克彦 東京理科大学, 工学部, 助手 (80188995)
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Keywords | 高靭性型セメント系複合材料 / ビニロン繊維 / デバイス / エネルギー吸収材 / 壁柱 / 剛性コントロール / シヤキー / スリーブ |
Research Abstract |
1.モルタル中にビニロン繊維を体積比で1.5%混入した高靭性型セメント系複合材料を用いて,エネルギー吸収デバイスを想定した壁柱を製作し、曲げ・せん断実験を行った。実験の目的は,エネルギー吸収能力,剛性コントロールの可能性,および,せん断応力度レベルの違いによる損傷制御の可能性を把握することである。 2.試験体形状は,柱幅2000mm,柱せい450mmで一定とし,柱高さを900,600,450mmと変化させた。試験体数は,柱せん断スパンと主筋の強度の組み合わせにより剛性のコントロールを把握するための試験体3体,せん断応力度レベルを変化させた試験体2体,比較用の鉄筋コンクリート造試験体1体の合計6体とした。また,壁柱の上端・下端でのズレを防ぐためのシヤキーの設置、およびスタブコンクリートからの主筋の抜け出し量を防ぐためのスリーブの設置等の工夫を施した。 3.実験結果より,以下の点を把握した。 (1) 高靭性型セメント系複合材料を用いた試験体は,鉄筋コンクリート造試験体に比べて,エネルギー吸収能力および靭性能に優れており,また,せん断ひび割れの分散およびひび割れ幅の抑制効果が顕著であったことから,エネルギー吸収材および損傷制御材としての利用が可能であることが把握できた。 (2) せん断スパン比および主筋強度を変化させることにより,曲げ耐力および剛性をコントロールすることが可能であることが確認できた。これは,コンクリート系構造の高い剛性を生かし,比較的小さな変形からエネルギー吸収を行うエネルギー吸収デバイスの実現が可能であることを示している。 4.平成13年度は,本実験で得られた構造性能特性をモデル化し,建物に組み込んだ構造解析を行うことにより,無機質材による高エネルギー吸収部材を組み込んだ構造システムの有効性や構造性能の可能性を明らかにすることとしたい。
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