2002 Fiscal Year Annual Research Report
社会調査のための日本語と英語の比較可能な騒音のうるささ尺度の開発
Project/Area Number |
12650599
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 隆 熊本大学, 工学部, 教授 (30109673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カーク マスデ 熊本学園大学, 経済学部, 助教授
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Keywords | 騒音のうるささ / 程度表現語 / 基礎評価語 / 日本語 / 英語 / バイリンガル |
Research Abstract |
ICBEN (International Commission on Biological Effects of Noise) Team 6 (Community Response to Noise)によって騒音のうるささに関する標準的な尺度と質問文が各言語圏で平行して構成された。 英語の尺度は"extremenly","very","moderately","slightly","not at all"、日本語の尺度は「非常に」、「だいぶ」、「多少」、「それほど…ない」、「まったく…ない」となった。これらの尺度が等価であるために、1)どの言語も最大の程度は同じである、2)被験者の違いは無視できるという2点が仮定された。2)を解消し、1)を検証するために、日本語と英語に精通する73名を被験者として、ICBENによって提唱された騒音のうるささ尺度を構成する実験を行い、日本語と英語のうるささ尺度の最上位の程度表現語の強さを比べた。その結果、日本語の最上位の言葉には「きわめて」が選ばれ、ICBEN実験で選ぱれた「非常に」とは異なったが、その差はわずかであった。一方、今回の実験で英語の最上位に選ばれた"extremely"はICBEN実験の結果と一致した。「きわめて」と"extremely"の強さの間には統計的に有意な差が認められたが、その差は小さく最大の言葉の強さには大きな差はないことが確認された。 また、質問文の等価性を検証するためには、英語でうるささを表現する"bother, disturb or annoy"(基礎評価語と呼ぶ)と日本語の「悩まされる、あるいは、じゃまされる、うるさいと感じる」の等価性を検証しなければならない。すなわち、質問文の印象に差があるかどうかを検証しなければならないが、異なる言語の印象を直接比較することはほぼ不可能である。そのため、各言語で基礎評価語を印象の強さによって3種類の質問文を作成し、うるささ反応への影響を検討することとした。(1)騒音の評価であるか、(2)個人が感じるうるささであるか、(3)騒音に悩まされるかという質問を行った。被験者は202人の日本人と、129人の英語を母国語とする人々である。その結果、騒音に対する日本語と英語の不快感反応に、質問文の影響がないこと、また英語と日本語でも差がないのとが分かった。 以上の検討から、ICBEN Team 6によって構成された日本語と英語の騒音のうるささに関する標準的な尺度と質問文はほぼ等価であることが検証された。
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[Publications] K.Masden, J.M.Fields, T.Yano, J.Hatfield, R.F.S.Job: "Effect of social survey question wording on measured noise reactions and hypothetical reactions to environmental factors"Proceedings of the 7^<th> Western Pacific regional Acoustics Conference. Vol.2. 951-954 (2000)
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[Publications] カーク・マスデン, 矢野隆: "騒音に対する反応への日本語と英語の基礎評価語の影響"日本音響学会騒音・振動研究会資料. N-2001-12. 1-8 (2001)
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[Publications] T.Yano, K.Masden: "Equivalence of noise annoyance modifiers in Japanese and English for standardized scales constructed according to the ICBEN method"Proceedings of the 2002 International Congress on Noise Control Engineering. (CD version). 6 (2002)
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[Publications] K.Masden, T.Yano: "Direct comparison of English and Japanese noise annoyance modifiers used in the ICBEN Team 6 study"Proceedings of the 2002 International Congress on Noise Control Engineering. (CD version). 6 (2002)
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[Publications] カーク・マスデン, 矢野隆: "日本語と英語のうるささ尺度の等価性に関する検討-日本語と英語に精通した人々を対象としたICBENの程度表現語の評価実験-"日本音響学会騒音・振動研究会資料. N-2002-9. 1-8 (2002)
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[Publications] K.Masden, T.Yano: "Equivalence of English and Japanese annoyance scales"Proceedings of the 8^<th> International Congress on Noise as a Public Health Problem. (CD version). 2 (2003)