2000 Fiscal Year Annual Research Report
コンサートホールにおける後期残響音の到来方向と空間的印象
Project/Area Number |
12650606
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
古屋 浩 九州共立大学, 工学部, 教授 (00238700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 一壽 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (90112309)
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Keywords | 音に包まれた感じ / 後期音 / 反射音の到来方向 / 音響心理実験 / 音場測定 / コンサートホール / 音響設計指標 |
Research Abstract |
本研究は、後期残響音の3次元的な到来方向やレベルといった物理特性と"音に包まれた感じ"(Listener envelopment:LEV)の関係を明らかにするとともに、後期音エネルギの空間的なバランスに着目した物理指標並びにその計測方法について検討し、コンサートホールの音響設計に資する客観的指標を獲得しようとするものである。 本年度は、1.後期音の方向特性がLEVに与える影響に関する基礎的な心理実験、並びに、2.実際のホールにおける後期音特性を明らかにするための音場測定、を実施した。 1.音響心理実験 無響室内にて3次元的な合成音場を用いて行った心理実験の結果から、以下のことを明らかにした。 (1)側方成分を全く有していない後期音によってもLEVに有意な差が生じる (2)側方反射音レベルの寄与が最も大きいものの、上方並びに後方から到来する後期音もまたLEVに強く影響する (3)前方からの後期音は、ほとんどLEVに寄与しない 2.実音場の測定実験 既存のコンサートホールと多目的ホールを対象に音場測定を実施し、後期音エネルギの前後・左右・鉛直方向の各方向成分に関する分析結果から、以下のことを明らかにした。 (1)方向別後期音レベルの変化幅は、前後方向成分が4〜5dBで最も小さく、側方成分が6〜9dB、そして鉛直方向成分が7〜18dBであった (2)後期音エネルギの後方/前方レベル差は-1〜-5dBであり、ホールおよび音源-観測点間の距離には依存しない (3)ホールの違いにより、後期音レベルの距離減衰特性、特に鉛直方向成分の減衰量に有意な差が生じる (4)後期音の方向分布特性は、音場の拡散性を強く反映する点からホール音場を評価するための重要な指標となりうる
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 比嘉規晶: "後期音の到来方向が音に包まれた感じに与える影響(その2)"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-1. 47-48 (2000)
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[Publications] 和久田晃子: "実音場における後期音の方向分布特性"日本音響学会建築音響研究会報告. AA2001-5. 1-8 (2001)
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[Publications] Hiroshi Furuya: "Arrival direction of late sound and listener envelopment"Applied Acoustics. Vol.62(2). 125-136 (2001)
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[Publications] 比嘉規晶: "後期音の方向分布に関するホール実測(その1)"日本建築学会九州支部研究報告. 第40号2. 73-76 (2001)
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[Publications] 和久田晃子: "後期音の方向分布に関するホール実測(その2)"日本建築学会九州支部研究報告. 第40号2. 77-80 (2001)