2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の住居近傍での他者との交流の場の形成(住環境、居住歴の比較から)
Project/Area Number |
12650624
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
志田 正男 東北工業大学, 工学部, 教授 (60085438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹本 剛 東北工業大学, 工学部, 助手 (50225900)
藤波 伊三雄 宮城学院女子大学, 学芸学部, 助教授
沼野 夏生 東北工業大学, 工学部, 教授 (20289721)
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Keywords | 高齢者 / 交流の場 / 住環境 / 居住歴 / 地方中核都市 / 住環境整備計画 |
Research Abstract |
本研究は、地方中核都市の新旧住宅地において、住居近傍における高齢者の、親族を含む他者との交流のきっかけや、その深化、あるいは希薄化の過程を、その場所との関係でとらえることによって、今後の住宅計画、住環境整備計画に資する知見を得ようとした。 本年は仙台市内で、位置、開発時期、居住者層の異なる3住宅地を取り出し、戸建て住宅計95戸を訪問し、高齢者の日頃の交流の実態を捉えた。その中で明らかにした高齢者の交流(本研究では、交流を直接顔を合わせての何らかのコミュニケーションと限定)の特徴をあげると、 (1)対象高齢者世帯は、市心部に一人暮らし、夫婦のみの世帯が多く、郊外部、旧農村部で子との同居世帯が多いが、現在高齢者と別居している子息他家族との交流は、「めったに会わない」と「毎日」又は「週に何度か」がどの地区も半々ほどで、市心部の高齢者も、約半数の者は別居子息と頻度高く交流している。この時の交流の場は、圧倒的に「自宅」で、時に「子息の家」。相手との関係で部屋は異なるが、殆どは「居間」で「飲食を伴って」である。 (2)近隣の人とは、市心部で5割、郊外部で6.5割、農村部で8割の者が、「週に数回」顔を合わせて交流する機会をもっている。逆に見ると、残りは顔を合わせる者がいないか少ない。この場合の交流の場は、6割〜8割の者が相手を住宅内に入れている。残りは玄関先又は外部での挨拶、立ち話程度である。しかし今後は、別居家族に次いで、この「近隣の人」と、もっと交流を深めることを期待している者が多い。 (3)近隣以外の市内に「週に数回」会うような友人をもっている高齢者は、市心部で3割、郊外部で6割、旧農村部で3割ほどいる。この中には「打ち解けて何でも話せるような交流」のある者が、近隣より多くみられる。 (4)郊外部の高齢者が近隣の人と交流する場合を除いて、地域の施設がその場として使われている例が少なく、現在では、高齢者の交流には、圧倒的に自宅が多く使われている。 次年は対象住宅地を増やし、高齢者の主体的条件との関係の分析も深める。
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