2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者にも認知可能な火災報知アラームについての研究
Project/Area Number |
12650627
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
須川 修身 東京理科大学, 総合研究所・火災科学研究部門, 助教授 (60162856)
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Keywords | 警報音 / 睡眠 / 目覚め / 音圧 / 音色 / 音域 |
Research Abstract |
火災時の自力避難は(1)適切な感知、(2)確実に在館者(居住者)に伝えるの両者が必要である。本研究は、この(2)に関する研究であり、高齢者だけに対象を絞り込むことは、(1)普遍性に問題が生じる事、(2)適切な準備無しに高齢者に大きな音圧での試聴実験は行えないので、今年度は主として、文献調査と音種の収集を行った。 (1)睡眠中の人が目覚めるには火災警報の音圧として約3mのところで少なくとも85dB (2)静かな環境で通常の聴覚を持つ大学生年代の者を目覚めさせるには耳元で55dB程度 (3)寝室に空調機を作動させ機械音がある場合は、少なくとも70dB程度が必要 (4)静かな環境で通常の聴覚を持つ大学生年代の者を目覚めさせるには耳元で70dB程度必要という結果もあり、上記(2)とはずれがある。 (5)住宅内の壁やドアなどによる音響レベルの低下、家具による吸収は周波数の増加と共に増大するので、火災警報音は低い周波数500Hz以下にする事が妥当となる。しかし人は2000〜5000Hzの領域が敏感なので、低周波数は警報としては使いがたい。 確実に人を目覚めさせる音圧として必要なレベルは確立されておらず、また最適音域も不明である。音圧レベルが確立されても、警報機と人の位置関係は一概に決められず、建物の壁・ドアなどで警報音がどのように減衰するかを調査し、モデル化が必要である。火災時の避難行動の促し(あるいは伝達)は、通常時には聞く機会が少なく異常時と理解しやすい音種である必要がある。通常の聴覚を持つ大学生(男女)に試聴させたところ、救急車あるいは消防車のサイレン音が最も緊急性を感じ、火災時の避難に結びつく事が判った。
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