2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650645
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Research Institution | TOHOKU INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
小山 祐司 東北工業大学, 工学部・工業意匠学科, 講師 (90215434)
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Keywords | 仙台藩 / 建築生産組織 / 御大工家文書 / お抱え大工 / 御作事指図 / 建地割図 / 稽古図 |
Research Abstract |
1.千田家文書について 千田家文書の中でも御作事指図(設計、仕様指示など)と建地割図などの絵図類を中心に分析を行った。 千田家文書の中の御作事指図や建地割図などの絵図類44点については、その書式や時期の検討と作成経緯を中心に、次の3点を中心に報告した。(1)千田家9代目代の絵図が7点、11代の絵図が15点であること。(2)絵図の種類については、指図が6点と少なく、残りの殆どが建地割図であること。(3)定御修覆所に関わる絵図12点、在々御修覆所に関わる絵図1点であり、これらは、作事・営繕の為に作成されたと考えられること。18点が稽古図としての作成経緯と考えられること。(「仙台藩御大工棟梁千田家文書について-御作事指図・建地割図を中心にして-」) 2.御大工の組織形態について 先に報告していた、(a)お抱え大工すなわち御大工は250人程で、その他に、御畳刺などのお抱え建築工匠が200人程であったこと。(b)対照的に、仙台城下における町方の建築工匠が90人程と少ないこと。などとともに、おおよそ仙台藩における建築生産組織が他藩や幕府のそれと大きく異なるという特徴が明らかになりつつある。しかし、御大工が藩営の造営活動において動員のされ方が、組ごとでないと考えられる資料もあり、尚、不明な点が多く残る。 3.その他 仙台藩内のお抱え大工の家柄であった朴沢家旧蔵の文書約430点が仙台市博物館に寄贈されている。以前、この内約50点ほどの技術書関連文書について千田家文書と比較考察して報告している。今回新たに約340点の文書を採録した。仙台市博物館架蔵の朴沢家文書の特徴は、家政や支配関連文書がほとんどなく、大工ひな形などの技術書、御作事指図・建地割図、絵様などの絵図が殆どを占めることである。改めて、朴沢家文書と千田家文書の比較考察を進めている。
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