2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゲル薄膜/セラミック薄膜変換過程における応力発生機構の解明
Project/Area Number |
12650679
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
幸塚 広光 関西大学, 工学部, 助教授 (80178219)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 強誘電体 / 圧電体 / 薄膜 / チタン酸バリウム / PZT / 応力 / 膜厚 |
Research Abstract |
アルコキシド溶液をコーティング液とし、スピンコーティングによってシリコン基板上にゲル膜を作製し、近赤外集光加熱炉中で一定速度で昇温し、光学顕微鏡を用いて膜のその場観察を行った。その結果、亀裂は昇温過程で発生し、亀裂発生温度は400℃以下であることがわかった。X線回折測定により、結晶化は500℃付近の温度で生じることを確認した。これらの結果より、膜中での亀裂発生は結晶化がおこるよりも低い温度で生じることがわかった。すなわち、亀裂発生は膜の緻密化によって発生する引っ張り応力によって生じることがわかった。 ポリビニルピロリドン(PVP)を含有する金属アルコキシド溶液をコーティング液とし,ディップコーティングによってシリカガラス基板上にBaTiO_3膜を作製した。ただし、コーティング回数は1回とし、ゲル膜の焼成は700℃で10minとした。得られたBaTiO_3膜は厚さ1.4μmであり、光学顕微鏡では亀裂が観察されなかった。しかしながら、FIBエッチングによって平滑な膜断面をつくり、FE-SEMにより観察したところ、膜は多孔質であり、とくに基板界面付近での気孔率が大きいことがわかった。一方、ゲル膜を300,500,700℃で段階的に熱処理すると焼成膜は緻密になり、膜厚は0.7μmに減少した。段階的熱処理によってシリカガラス基板上に作製した焼成膜の表面をFE-SEMにより観察したところ、粒界にそった亀裂が観察された。一方、MgO単結晶基板上に同じ条件でBaTiO_3膜を作製したところ、亀裂は見られなかった。このことから、段階的に熱処理してシリカガラス基板上に作製した焼成膜に見られた亀裂は、基板と膜の熱膨張係数差によって降温過程で発生したものであることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kozuka, Y.Isota, A.Higuchi, T.Hamatani: "Cracks in gel-derived ceramic coatings and thick film formation"Proceedings of International Symposia on Materials Science for the 21th Century, The Society of Materials Science, Japan, Suita, Japan, May 21-22,. B巻. 122-125 (2001)
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[Publications] H.Kozuka, T.Kishimoto: "Aqueous solution-based sol-gel ceramic thin film deposition using organic polymers with amide groups"Chem. Lett.. 1150-1151 (2001)
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[Publications] H.Kozuka, A.Higuchi: "Single layer submicron thick BaTiO_3 coatings from PVP-containing sols : gel-to-ceramic film conversion, densification and dielectric properties"J. Mater. Res.. 16巻. 3116-3123 (2001)
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[Publications] S.Takenaka, H.Kozuka: "Sol-gel preparation of single-layer, 0.75 pin thick lead zirconate titanate films from lead nitrate-titanium and zirconium alkoxide solutions containing polyvinylpyrrolidone"Appl. Phys. Lett.. 79巻. 3485-3487 (2001)