2000 Fiscal Year Annual Research Report
圧電体粒子を分散した機能性バイオセラミックスの開発
Project/Area Number |
12650680
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
野間 竜男 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (20180771)
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Keywords | 水酸アパタイト / バイオセラミックス / チタン酸バリウム / 強誘電体 / コンポジット / インプラント材料 / ニオブ酸リチウム / 電気的性質 |
Research Abstract |
水酸アパタイト(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2、以下HAp)は生体硬組織を構成する主成分であり、組織適合性に優れ、骨や歯と直接強固に結合するという性質から人工歯根や骨充填剤などのインプラント材料として注目されている。しかし、HAp単相をインプラントした場合、インプラント材の周囲の天然骨の成長が遅いということが実用上の最大の障害になっている。一方、天然骨は有機物であるコラーゲンとの複合材料であり、圧電性を持つコラーゲンに外部応力が加わったときに生ずる微小な電流が、近傍の神経終末を通じ、造骨シグナルを調節機構に伝え、最終的に骨を成長する方向へ作用する。そこで、HAp周囲の低い成長速度を向上するために、本研究はコラーゲンの10倍〜100倍の圧電定数を持つ無機粒子を分散した複合HApセラミックスを合成する。そして、応力が加わったときに微小な電流を生ずる機能性バイオセラミックスの開発を目的とする。本年度の研究成果は以下の通りである。 強誘電体粒子と水酸アパタイト粒子をオートクレーブで合成した。微粒子の大きさはそれぞれ1μm程度である。種々の温度で強誘電体粒子と水酸アパタイトの間の反応性を調べた。その結果チタン酸バリウムの場合バリウムが水酸アパタイトに置換固溶するため、処理温度が約800℃以上の場合、著しく分解することがわかった。一方、ニオブ酸リチウムの場合、1000℃まで熱処理をしてもそのような分解は見られなかった。 3)キュリー点が80℃〜180℃のチタン酸バリウムと水酸アパタイトのコンポジットセラミックスを焼結し、800以下で合成し、微構造・相・組成について検討した。その結果、最適な緻密化温度を決定しつつある。 チタン酸バリウムの粒径を1〜10〜100μmと変化させ、その際の緻密化挙動・反応性そして電気的性質を測定しつつある。この結果は次年度以降にまとめて報告する。
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