2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム合金中のScの特異的添加効果の発現機構の解明
Project/Area Number |
12650688
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤川 辰一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50005344)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 嘉明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005411)
|
Keywords | スカンジウム / Al-Sc合金 / 不純物拡散 / 核磁気共鳴 / アルミニウム合金 / 時効 / 界面エネルギー |
Research Abstract |
各種のアルミニウム合金に極少量のScを添加すると、各種の諸性質が飛躍的に改善される効果が最近見いたされているが、その機構に関しては今なお不明な点が多い。本研究では、その効果で重要な役割をになっているAl_3Sc化合物の時効析出の研究およびアルミニウム中のScの拡散係数の測定によって、その機構を解明することを目的としている。本年度は、第一にAl-Sc合金およびAl-Mg-Sc合金におけるAl_3Sc化合物の析出挙動を電気抵抗測定、電子顕微鏡観察、硬度測定および核磁気共鳴で調べた。Al_3Sc化合物の析出の速度論的研究から、その速度定数を決定した。核磁気共鳴によって、Al-Sc系およびAl-Mg-Sc系のアルミニウム側のScの固溶度の再評価を行った。さらに同法よってAl-Sc合金およびAl-Mg-Sc合金におけるAl_3Sc化合物の析出の速度論の比較を行った。アルミニウム中のScの低温度領域での不純物拡散係数を決定した。アルミニウム中のScの拡散速度は、高温域では他の遷移金属元素のアルミニウム中のそれと同じくアルミニウムの自己拡散よりも遅い。一方、低温域ではアルミニウム中でのScの拡散速度は他の遷移金属元素よりも大きく、Al-Sc過飽和固溶体の分解速度が他の遷移金属元素を含有するアルミニウム二元合金のそれよりも著しく大きい結果を裏付けることが出来た。アルミニウム中のScの拡散係数の結果と他の実験結果を結びつけてAl_3Sc化合物/α-Alの界面エネルギーの評価を行った。さらに、2001年日本金属学会春季大会において「軽金属合金におけるスカンジウムの特異な添加効果」という標題でシンポジウムを藤川が開催し、本研究に関連した議論を行った。
|