2000 Fiscal Year Annual Research Report
二色性フォトクロミズムを示すビピリジニウムホスホン酸塩の創製
Project/Area Number |
12650696
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
七澤 真人 山梨大学, 工学部, 教授 (70020451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 哲夫 山梨大学, 工学部, 助手 (70273034)
平井 美智子 山形大学, 工学部, 助手 (00303397)
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Keywords | ビオロゲン / 光還元 / フォトクロミズム / サーモクロミズム |
Research Abstract |
1)N,N'-ジエチル-4,4'-ビピリジニウムホスホン酸塩の合成 ビピリジンのメンシュトキン反応によりN,N'-ジエチル-44'-ビピリジニウムジアイオダイドを合成し、対アニオンをイオン交換樹脂に担持したメチルホスホン酸、あるいはフェニルホスホン酸と交換し、ビオロゲンホスホン酸塩を合成した。二塩基酸のホスホン酸はビピリジニウムジカチオンと1:1の比でイオンを形成すると予想したが、pK_2が小さく、立体障害の為、スルホン酸と同様1:2の塩であった。 2)ポリマーマトリックス中での光還元挙動 ポリマーフィルムはホスホン酸塩のポリビニルピロリドン(PVP)、あるいはポリビニルアルコール(PVA)水溶液をガラス板上にキャストし調整し、またガラス板でサンドイッチした空気を遮断した系のフィルムも同様に調整した。紫外線照射により無色のビオロゲンジカチオンは400nmと600nmに吸収ピークを有する青色のラジカルカチオンに変色し、対アニオンがホスホン酸でも光還元が起こることが明らかとなった。電子供与体がホスホン酸イオンか、ポリマーマトリックスからか明らかではないが、発色量は非プロトン性のPVPの方が大きく、溶媒和していないアニオンの関与が示唆される。暗反応は室温で進行し、逆電子移動、あるいは空気酸化によりラジカルカチオンが消失する。 空気を遮断したフィルムでは着色種は安定であること、また酸素透過率の小さいPVAの退色速度が遅いことから、ラジカルカチオンの消失は空気酸化が主であると考えられる。 3)ビピリジニウムホスホン酸塩のサーモクロミスム ビピリジニウムホスホン酸フィルムが加熱により発色することを見い出した。ビオロゲンの対アニオンがハロゲンやスルホン酸イオンの場合見られなかった現象である。発色種とのエネルギー障壁とエンタルピー差が小さいことが原因と考えられるが、ホスホン酸塩の特異的なものか更なる検討が必要である。
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